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デベロッパーによる人材育成の支援~JR博多シティVS天神(4)
特別取材
2011年2月17日 08:00

<駅ビルに必要な小売業としての自覚>

 お客はもはやどこでも売っている商品をわざわざ駅ビルで買おうとは思わない。それゆえ、駅ビルはお客に選ばれる存在でなければ、駅利用客であってもスルーされてしまう運命だ。
 お客に来てもらうには、デベロッパーとテナントの関係だけでなく、その先にはお客という視点が必要になる。つまり、新たな価値の判断はお客に向いていなけれならず、デベロッパーにはテナントと運命を共にする、小売業としての自覚が不可欠なのだ。
 前項でも書いたが、駅ナカ業態なら列車を待つ人々がその時間を利用して、たまたま買い物したり食事をしたりと、偶然のかけ算で売上が計算できる。
 しかし、駅ビルは階上にも店舗を抱えているため、お客には上のフロアにも目的をもって来てもらわなければならない。それには通勤通学の途中だけでなく、休日にもわざわざ来てもらえるように顧客対象を明確にしなければならない。
 11月の概要発表で、JR九州の唐池社長はアミュプラザの主要客層を30歳前後の女性に想定すると語ったが、テナントの顔ぶれを見る限り「お客がどんな目的で来館するか」の視点が見えづらい。言い換えれば、館全体にマーチャンダイジングとサービスを打ち出す「オリジナリティ」が不足しているのだ。
 もちろん、テナントがまずそれを商品やサービスに落とし込まなければならないのだが、デベロッパーにもそうしたテナントの発掘やインキュベーション(ふ化)機能が求められるのは言うまでもない。
 テナント、デベロッパーの双方が目的を共有し、強いパートナーシップで結ばれるには時間がかかる。でも、それをやっていかなければJR博多シティに明日はない。
 では、お客に博多シティで買い物しようと思わせる「新たな価値提案」とは何か。ほとんどが天神にあるテナントなのは非常に厳しいところだが、決して道がないわけではない。まずはデベロッパーとしてテナントの指導教育、特に店舗スタッフの販売能力を高めることである。

<新人だからこそ人材育成を支援する>

JR博多シティの人材採用は6,000人で かつてない規模の雇用機会 JR博多シティを運営する博多ターミナルビルは、昨年12月と今年1月、テナントが採用する人材の合同面談会を開催。募集人数は博多阪急を含め6,000人で、九州ではかつてない規模の雇用機会となった。
 ただ、折からの就職難と重なったことで、参加者は既卒者、転職希望者はもちろん、大学や専門学校などの新卒者が各地から駆けつけた。募集職種は店長や販売スタッフなどで、正社員より契約社員、アルバイト、派遣社員の方が目立っている。  企業側は採用には慎重で希望する人材が見つからなければ、無理に採用しない。不足分は派遣スタッフで補うところもある。しかし、テナントが新人を教育しながら、競争に立ち向かうのは容易なことではない。
 新人スタッフのなかには、とにかく就職したいがあまり、接客や販売のことはほとんどわからずに飛び込んだものも少なくないだろう。しかし、テナント企業は莫大な出店投資をしており、JR九州も売上目標を掲げた以上、予算達成というノルマは付いて回る。
 ここはデベロッパーとしても、店舗スタッフの人材育成をフォローしてはどうだろうか。店頭でそのテナント、スタッフが気に入ったから購入したというお客を増やしても良いはずである。
 「あの人のコーディネートは素敵」「あの人の接客なら次ぎも買いたい」など、お客を引きつけられれば、駅ビルとして新たな価値を提案することにつながる。
 単に商品やサービスを売るだけでなく、接客を通じてお客に信頼されるような人間になること。デベロッパーはその支援を積極的に行なっていくことが重要なのだ。そのためには博多ターミナルビルのスタッフ自らも「お客は何を求めているか」を理解しなければならないのである。

(つづく)

【釼 英雄】

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