岩崎 私はそういう意味では、最近生意気ですけど達観しています。中央集権けしからん、地方切り捨てけしからんと言っても、あまり生産的ではないなと。でも、歴然として富の偏在、資本の偏在、今回のテーマである人材の偏在という現実をどうすればいいかというときに、人材の偏在は時間がかかるけれど、ここから始めなければ話にならないなと。長い目でみると、そこをやった人間が信じられないくらい立場を逆転できたというのが人類の歴史ではないかと思います。
そういう意味ではお言葉ですが、ICT(情報通信技術)などのインフラ整備をした場合に、実際にそれを活用できる人材が地方にいないと、いくら先生がブロードバンドを整備されても(うまくいかないのではないか)、という意味において最後は人ではないかなと思います。教育・人材育成に関して何かありますか。
原口 だから小学校からわざわざICTを学ばなくてもいいように、未来の学校をつくるわけです。たとえば、シンガポールでも中央から一番遠いところからやります。人材をそこから興そうとするからです。私も今回いろいろな地域をまわってみて、もうそれは起きていると思います。
私がいま一番危機的な状況にあると思っているのは東京なんです。東京は、コストが高い現状で少子高齢化が起こりますから、必要なインフラがどんどん壊れています。私は消防庁を所管していましたが、皆さん東京に行かれると、火事でもないのに消防車が出ているのを見たことありませんか。あれは何かというと、人口が多すぎて救急車が足らないから、その代わりに消防車が出ているのです。これを赤白連携と言います。
価値力を失った街で高齢化、高コストになると一番厳しいんです。だからいま、九州に帰ってこようという動きも出てきていて、東京を再生させなければならないんだけれども、地域に新たなチャンスがきているのも事実だと思います。
【文・構成:編集長 大根田 康介】
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