（株）HRK　代表取締役　岩本　初恵　氏

＜顔が見えないからこそ　より密接な関係を＞

　―物流センターについては、昨年、新たに仙台にも開設されましたね。

　岩本　顧客が全国的に急増しており、商品発送をできるだけ早く届けるために、新たな物流拠点を開設しました。実は、仙台のスタッフのほとんどは、もともと弊社商品のお客さまなんですよね。「手伝わせてほしい」という声が本当に多くて。そのほかに、新卒のリクルートの応募も殺到して大変でしたけど。

　―そうした取り組みから、大手はじめ御社に訪問する企業が多いと聞きます。

　岩本　訪問される企業にはどんどん見ていただいて、「良いところを盗んでいってください」と言っています。競争ではなく、「一緒に成功しましょう」という考えです。「お客さまを幸せにしましょう」という輪を作りたいので。
　また、そうした企業さまの訪問を受ける一方で、いずれは女性経営者を育成するセミナーを定期的にやりたいと考えています。女性が働く場として、「その意識作りや会話力、判断力を教えられたらいいな」と思っています。

　―ラジオのパーソナリティーをされたり、講演をされたりしているのは、社長なりのボランティア活動ということですか。

　岩本　そうです。ラジオや講演では商売とは関係なく、自社の製品の話は一切していません。ラジオはもう９年間パーソナリティーをしていますが、日々元気付けられるようなコメントや、今の人たちに必要な人生論について話しています。具体的には、私の経験をベースに、考え方と人の道に反れない生き方、信用さえ守ればいくらでも人生が変わることを伝えています。
　長くやっているおかげもあって、たくさんのリスナーからご共感いただき、今では何千通ものファンレターが届きますね。非常にありがたいですし、一通ごとに必ず目を通し、お返事をさせていただいております。それはすべて私の財産です。

　―御社は、コールセンターについても独自性がうかがえます。

　岩本　「どうしたらお客さまに喜んでもらえるか？」というのが重要で、社内でもお客さま１人ひとりをデータベース化しています。そのため、研修は行ないますが、決まりきったマニュアルというものはなく、オペレーターには個別に顧客対応ノートをつくらせています。たとえば、お客さまとのお電話の際に、電話の向こうでお子さまの声が聞こえたら、またご連絡いただいたときに「お子さまはお元気ですか？」とお声がけするといったように、それぞれ個別の顧客対応ができるようになります。
　通常の通販会社では、オペレーターに対して「できるだけ多くの件数に対応する」などといった効率性を重視しがちですが、弊社ではお客さまが納得するまで時間をかけてお話をうかがっています。顔が見えない通販だからこそ、より密接な関係が必要だと思っています。

【小山　仁】

＜プロフィール＞
岩本　初恵（いわもと　はつえ）
1961年生まれ、佐賀県唐津市出身。(株)HRK代表取締役を務めるかたわら、トータルライフアドバイザーとしても活躍。また、９年間ラジオのパーソナリティーとして9局で人気番組を受け持ち、全国誌でも連載コーナーを務めるなど、女性を元気にする言葉を発信している。

（株）HRK
所在地：福岡県筑紫郡那珂川町今光6-23
設　立：1998年10月
資本金：3,000万円
売上高：（10/9）約80億円

*記事へのご意見はこちら

※記事へのご意見はこちら