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全スタッフの販売力をメダリストクラスへ~JR博多シティVS天神(5)
特別取材
2011年2月18日 07:00

<優秀な販売スタッフを排出した旧博多駅ビル>

旧博多駅ビル時代には全国SC接客ロールプレイング コンテストで、多くの入賞者を排出 実を言うと、旧博多駅ビルは優秀な販売スタッフを数多く排出している。その証拠に「全国ショッピングセンター接客ロールプレイングコンテスト」では、過去何人ものが入賞、もしくは栄冠に輝いている。
 駅には全国から様々なお客がやっている。表情や態度、目的はもちろん、言葉遣いや方言などが違うため、接客はお客一人ひとりで変えていかなければならない。
 販売スタッフはそんな環境で日々仕事をするからこそ、自然と高度な能力や技術が養われるのだ。これは天神と大きく違うところだ。
 第5回大会で優勝したのは、マイング名店街に店舗を構える菓子舗の女性店長。彼女は地元の高校を卒業すると同時に同社に入社し、すぐに配属されたのが名店街店だった。
 元来、人と接する仕事が好きだったため接客には抵抗なく入れたそうだが、新人の頃に店長や先輩スタッフがお客に対し「荷物は重たくないですか」とか「袋を換えましょうか」など、細かな気配りで対応するところを見て、職場環境の良さが技術アップにはプラスになったと言う。  お客はすぐにアプローチされることを嫌う。彼女はそれを十分承知した上で、お客の視線の先にある商品に見ながらタイミングをはかる。こうしてお客が何を欲しがっているのかを感覚的に察知するそうだ。 
 また、お客が商品購入を決定しても決して手を抜かず、商品は必ず両手に持って渡している。お客の立場に立った新たな価値提案とはこういう部分もあるのではないだろうか。
 旧博多駅ビル時代に優秀な販売スタッフを排出したにも関わらず、駅ビルとして人材育成を積極的に進めてきた様子は見られない。ほとんどテナント任せだ。
 だからこそ、博多シティは新たな価値提案をするためにも人材育成に積極投資を行なうべきだ。博多阪急なども巻き込めばもっと盛り上がるはずである。

<デベロッパーがスタッフ育成に投資する>

 JR博多シティの出足が好調に推移するのは、想像に難くない。しかし、キャナルシティ博多の増床、バーニーズニューヨークの進出で、1年目の好調を2年、3年と維持できると誰が言い切れるだろうか。
 テナントスタッフは新入社員や未経験者が大多数を占めそうだ。慣れない環境でストレスをためるものも少なくないだろう。だからこそ、まず従業員満足度(ES)への注力が重要になる。
 デベロッパーの社員が店長やスタッフの相談を聞いたり、他店の成功事例をアドバイスしたりと、テナントフォローに力を入れる。また、優れたスタッフを取材して館内誌で紹介し、すべてのテナントスタッフに読んでもらうなど、販売スタッフの接客力アップにも取り組むのだ。
販売スタッフのモチベーション向上が 売上げ効果を発揮する  そして、究極は博多シティ自ら「接客ロールプレイングコンテスト」を行なうこと。自館のテナントを対象に接客が優秀な販売スタッフを選出。グランプリ大会では出場者に普段通りの接客をロールプレイング形式で披露してもらい、接客の最も優秀なスタッフをゴールドメダリストとして表彰するのである。
 外向きの販促策は、広告代理店の言いなりでメディアに頼りきった商品紹介など、莫大な投資の割には実効性を欠いている。JR九州リテールがテレビ番組と共同企画したエーエムピーエムの弁当が良い例だ。もし、これを定番化させられたら、大手とも互角に戦えたはずである。
 一方で、販売スタッフの接客力やモチベーションの向上という内向きの施策には、それほど力を入れていない。
 駅ビルがテナントを頼りにする限り、売上は販売スタッフのやる気が握る。博多シティは全テナントスタッフの販売力がメダリストクラスになった時、はじめて天神と互角に勝負できるのである。

(了)

【釼 英雄】

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