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特別取材

子どもの犠牲で成り立つ高収益企業グリー(下)
特別取材
2011年2月22日 07:00

 グリーに対しては警察だけでなく、全国各地の消費者相談センターも辛辣な見方をしている。「無料というふれこみだったので子どもに携帯を貸してゲームをやらせていたら、あとで法外な請求がきた」という相談が後を絶たないからだ。最も相談件数が多いのはグリーで、2位のディー・エヌ・エーとの相談件数の格差は「かなりの差がある」(消費者相談センター幹部)と、やはりここでも突出している。

携帯ゲーム 広告では無料とうたっているが、ゲームの機能を強化したりアイテムを購入したりする際には有料課金される。入り口はたしかに無料でも、遊びに熱中するうちに課金されてしまうのだ。子どもたちの場合、ゲーム画面の途中で出てくる「3,000円」や「5,000円」という課金の知らせも、本当にお金をとられるのではなく、そういうゲームなのだと錯覚して遊び続ける例もある。子どもの無知につけこむような商法なのだ。「母親が夕食の支度中に小2の娘に携帯を貸し与え、無料ということだったのでグリーのゲームをやらせていたら、あとで10万円も請求された」(09年夏、東京)。「12歳の娘は、無料ゲームでアイテムを購入しても、それは無料だと思ってゲームを続行し、6万8000円も請求された」(10年暮れ、東海地方)。こんな相談が後を絶たない。

 ある消費者相談センターの相談員はこう打ち明ける。「こちらからグリーに対応を求めても、たらいまわしにされることが多い。若い社員が多く、問題の対応に不慣れな印象を受けます」。同様の感想は警察幹部も抱いている。「経営幹部にかなり強い口調で注意喚起をしても、ピンとこないようだ」。

 グリーは2006年6月期決算の売上高は1億円だったが、直近の10年6月期は352億円にまで増えた。純利益は115億円になり、売上高純利益率は32%余という高収益ぶりだ。溜め込んだ現預金は113億円にもなる。社員数はわずか174人しかいないが、平均年齢29歳で平均年収705万円はネット系企業では厚遇のほうだ。楽天やディー・エヌ・エー、ミクシィが600万円台なので頭一歩抜き出ている。

 田中良和社長はライブドア事件を教訓に「堀江さんのようにならないよう気をつけます。目立つようなことはしないようにしているんです」と親しいIT企業の社長に漏らしている。地味な性格も手伝って、なるほどそれほど目立つ経営者ではない。しかし、重要なのは問題発生時の対応方だ。ライブドアもグッドウィルもあるいはかつての光通信も、急成長に内部管理体制がついていかず、マスコミから騒がれ始めてもなお危機感や緊張感に欠け、改善策を打ち出すのに遅れた。いまのグリーにはまさにそんな危うさがある。

 GREEは、実はGREEDの「D」が隠れているのかもしれない。Greed for Money(守銭奴)かもしれないのだ。

(了)

【特別取材班】

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