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2011統一地方選挙

出馬へ突き動かした県南の想い~知事候補者選定、混迷の理由(中)
2011統一地方選挙
2011年2月 3日 10:16

 自民党県連が多数の候補者のなかから全会派が納得する一人に絞り込むという難しい作業にとりかかっている時、麻生知事が九州電力の松尾新吾社長に小川洋氏を会わせるとの情報が入った。人に頼んでおきながら勝手に自分たちで候補者を決めるとは何事だと、当然県連内部では問題になった。しかも知事の動きと連動するかのように、知事候補が小川洋氏に決定するとの観測が財界からマスコミに流れた。さらに麻生太郎氏とつながっている中村明彦県議などが自民党県連内で反主流派を中心に小川擁立を密かに根回しし始めたのである。

 この動きが自民党県連を刺激した。それならば原点に戻って自民党としての候補者を選ぶべきだという声が沸きあがり、知事としての手腕も期待できる蔵内勇夫県議に出馬を要請しようとなったのである。たしかに蔵内勇夫氏が知事候補に名乗りを上げれば、財界もそうそう反対できるわけではない。実際、蔵内氏が立候補を表明することで様子見を決め込んだ財界内の親蔵内グループもいる。全県的な視野を持ち、九州電力など福岡の主要企業が作っている七社会とも昵懇(じっこん)な蔵内勇夫氏に、財界は中央官庁との交渉などでも助けてきてもらっているからだ。当然、小川洋氏にとっても最大の壁となる。「怒っている自民党県議たちが蔵内氏に出馬を要請しているが、知事以上の実力を持つと評される本人は出ないのではないか」という噂が流されたのも、ある意味うなずけよう。

古賀誠氏(左)と麻生太郎氏(右) 古賀誠元幹事長は、下野した自民党が政権復帰するには地方選挙を一つひとつ勝ち抜いていくことが必要だと考え、蔵内氏擁立に賛意を表明、蔵内勇夫氏の腹も固まった。今度こそ県南から知事をという古賀誠氏の意見や、今まで福岡県では冷遇されてきた県南の支持者の想いが蔵内氏を知事選出馬へと突き動かしたのだ。
 小泉内閣のもとで地方が置き去りにされ格差社会がもたらされたことこそ、自民党が昨年夏の衆議院選挙で大敗を喫した理由であるのだが、「地方の時代」の地方行政にはそうした過去への反省が不可欠である。その意味で県南・筑後市を選挙区とし、地方にも暖かい目をそそいできた蔵内氏が知事になることは好ましいことかもしれない。中央官僚による政治では、これからの地方自治は担えないという意見は確かにわかりやすい。小泉改革の負の遺産を明確に指摘する蔵内県議を知事にという声は日増しに高まった。

 この状況に驚き慌てた麻生太郎氏はすぐさま調整に動いた。昨年11月末に麻生太郎氏、古賀誠氏、蔵内勇夫氏の三者会談が持たれたが、決着はつかなかった。自民党県連の側に立つ古賀誠氏と、自分は財界から信頼されていると思っている麻生氏とでは話がつくわけはない。そこから小川擁立グループの作戦が続く。「公明党が支持しない蔵内は駄目だ」「麻生氏と古賀氏が一致しなければ出ないといっている蔵内は出馬しない」といった意見が飛び交い、「公明党は小川支持」なる報道が流されたりすることになる。公明党の浜崎県議はこれを否定し、「自民党の決定を受けてそれでいいかどうかを決めるのがうちの立場」と強調、報道したマスコミに抗議した。自民党の混乱が他会派にも持ち込まれたのである。

 候補者選定は暗礁に乗り上げた。

【勢野 進】


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