（株）冨士機　専務取締役　藤田　岳彦

＜汚泥処理システムに対し全国からオファー続出＞

　「株式会社 冨士機」は、現代表である藤田以和彦氏の父・喜太郎氏が1947年１月に鐵工所を創業したのがルーツ。1972年９月に以和彦氏が「株式会社 冨士機鉄工」として法人改組。1991年１月に現商号となって現在に至る。
　その高い技術開発力で「環境に貢献し時流にあった技術開発を行なわねばならない」という強い信念を藤田代表は抱き続けていた。プラント製造の技術開発力を存分に発揮して環境事業に着手。2000年に同社の看板のひとつとなる汚泥処理システム「建設・浚渫汚泥固化処理ユニットFBE」を開発。これは工事現場などで発生する汚泥を、その場で中性固化して再生し埋め戻すシステムである。
　同社の中性固化工法のシステムでは、工事現場などに移動式のユニットと固化材を搬入すればその場で汚泥を改良土に処理することが可能である。処理した土は建設資材や緑化基盤材として即利用できる。ほとんど廃棄する必要のない100％に近いリサイクルが実現する汚泥処理システムである。
　2002年11月、同社の桂川工場（福岡県嘉穂郡、敷地面積１万52ｍ²）において、業界や有識者などで構成される高環境中性固化改良協会による中性化固化工法の公開実験が実施された。その場で、工法の有益性が実証され実験を視察した関係者は賛同。言い換えると建設関係者は河川・港湾の再生や土壌汚染処理に大きな課題を抱えていてその課題を克服する手法を見出したこととなる。また同工法は、東京メトロをはじめとして全国各地のインフラ整備の開発現場からオファーが舞い込んでいる。

＜有明海再生・環境保全への貢献＞

　この公共財と言っても過言ではない中性化固化工法によって、同社代表藤田氏は有明海再生を掲げている。
　「有明海はダム建設や森林開発で河川の水量が激減し、ヘドロを海へ押し出すこと出来ず河口に詰まらせる一方です。有明海は呼吸出来ない状態にあります。しかし、弊社の中性化固化工法を用いることによって有明海のヘドロ化を防止することができます。ヘドロが堆積すれば、『澪』と呼ばれる自然の水路が出来にくくなってしまいます。そこで河口にヘドロを改質してブロック状にしたものを河川底部に沿って並べ、『澪』が自然な形で作られるようにします。我々の培った技術力と情熱で、有明海を蘇らせたい一心です」と藤田代表は語る。
　かつては豊穣で美しい海であった有明海。近年は、その美しい景観や特有の漁業資源を豊富に有した生態系が、めざましい経済発展と住民生活が高度化する過程で崩壊しつつある。同社の中性化固化工法が、美しい有明海を再生させて、本来の有明海とその周辺の住民とが共生して本当の豊かな生活環境を創り上げるためのキーファクターであることは言うまでもない。有明海を豊穣な海に再生し、全国そして世界で同様の課題を抱える土地を美しい環境に蘇らせ、環境保全する。藤田氏の技術的なアイデアは、まさに待ち望まれている提言である。

＜プロフィール＞
藤田　岳彦（ふじた　たけひこ）
1965年12月、福岡市生まれ。学卒後、「冨士機鉄工」入社。業務、工務、技術、営業を経て2006年、専務取締役就任。「（株）セントラル商工」専務取締役を兼任する。

＜会社概要＞
（株）冨士機
代表者：藤田　以和彦
所在地：福岡県嘉穂郡桂川町大字吉隈字石川430-33
　　　　（大野城市白木原1-4-5）
設　立：1972年９月
資本金：5,000万円
ＴＥＬ：0948-65-4420
ＵＲＬ：http://www.kk-fujiki.jp/

※本稿は以下の書籍に掲載されています。

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