28日、日本製紙(株)(本社:東京都千代田区、社長:芳賀 義雄)は、熊本大学(所在地:熊本県熊本市、谷口 功学長)および(株)福岡建設(本社:熊本県八代市、福岡 一郎社長社長)と共同で、海底浚渫土とペーパースラッジ燃焼灰※1を混合造粒した新しい土木材料の開発に成功したと発表した。
日本製紙の製紙工場で発生するペーパースラッジ燃焼灰が、吸水性に富み水分と反応して固まる性質に着目し、福岡建設と共同で日本製紙八代工場のペーパースラッジ燃焼灰と水分の多い海底浚渫土を混練・造粒することにより、新規材料を開発。また、この新規材料を、熊本大学沿岸域環境科学教育研究センターの滝川清教授の研究グループが熊本港エリアで取り組む干潟なぎさ線※2の回復を目的とするエコテラス護岸※3に使用し実証試験を行なったところ、アサリの稚貝などの生物が多数発生し、生物多様性の回復に貢献できることが確認できたことから、この新規材料を使用することで、海域の浚渫土や堆積泥という廃棄物の活用と干潟なぎさ線(生物多様性の場)の回復という2つのメリットを得ることがでるとしている。
今後は、この新規材料を干潟環境回復の用途ばかりではなく、SCP工法※4の材料など、海洋土木工事で幅広く使用できる土木材料として、さらなる用途開発を続けててゆくとしている。
※1:ペーパースラッジ燃焼灰
紙の製造工程で生じる繊維かす(ペーパースラッジ)をボイラーで燃焼させることにより、バイオマス・エネルギーとして熱を回収した後に残る灰。通常はセメント原料などに利用。
※2:干潟なぎさ線
陸と海との境界にあたる、満潮時に海水に浸かる場所。
※3:エコテラス護岸
熊本大学が開発した、堤防に防災機能だけでなく生物生息環境や親水機能に配慮した護岸。
※4:SCP工法
サンドコンパクションパイル工法。砂杭を地中に造成して軟弱地盤を改良する工法。
▼関連リンク
⇒日本製紙グループ
⇒国立大学法人 熊本大学
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