4月に行なわれる統一地方選は、新旧交代の様相を呈している。福岡市議会では、自民党から津田たかし市議(8期・早良区)、石村一明市議(8期・中央区)、川上義之市議(8期・南区)が引退を表明。そのほかの会派では福政市民クラブの大森哲也市議(8期・早良区)など、"8期生"の引退が目立つ。このほかにも期数こそは少ないものの、60代以上の市議が数名引退する。
市議会で圧倒的な存在感と発言力を持つ8期生議員の引退の背景には、自身の年齢によるものに加え、初当選から議員とともに年を重ねた後援会の高齢化があるようだ。年が明けてから唐突に引退を表明した津田市議は、若い世代のものの考え方が変わり、後援会の世代交代が進まなくなったという実情を語った。曰く、「保守系の政治家が住みにくくなっている」と―。
津田市議は、「世のなかの変わり目」に現在の福岡市があるという。2010年11月、自身が擁立し、親身になって応援した高島宗一郎氏が福岡市長選で初当選。市長と市議という立場になってからは、ほとんど連絡をとっていないとする一方で、「職員がついていく市長になってほしい」と、心のなかでエールを送る。
その若い市長とともにこれからの市政を担う市議たちへは、計画通りに進めるのが当たり前といった行政の体質に厳しくメスを入れ、時代の変化に対応させていく姿勢を要望している。そのためにも市議会の"若返り"が必要ということだろう。
同じ8期生でも「老いてますます盛ん」なのが、平成会代表の高山博光市議(城南区)だ。9期目を目指す今回、当初、「これが最後」と言っていたが、最近は「93歳(14期)まではやりますけん!」と広言。その意気軒昂ぶりに、支持者からは「高山さん! 俺たち、もう、おらんくなる」という嬉しい悲鳴も。定数6に対し、12名が立候補を予定している城南区で、9期連続のトップ当選を目指そうと、後援会が一丸となっている。
ただし、支持者からは「後継者の育成」を強く望む声が多い。「子や孫の世代になっても、高山さんのような議員さんがいてほしい」という。立候補予定者のなかには、高山市議を師事する新人もおり、「一緒に当選して市議会で教えを請いたい」と語っていた。
後進に対して道をゆずるも、現場で教育するも、どちらの存在も必要だろう。ただし、次代を担わんとして名乗りをあげる若い政治家は、旧世代のモノマネばかりではいけない。良いところは受け継ぎ、悪いところは見直したうえで、それぞれの政治姿勢を明確にし、選挙でしっかりとした政策論争を行なってほしいところである。
【山下 康太】
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