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福岡への提言

ボランティア活動を通じて社会貢献～すみき～る（株）・的野社長

福岡への提言

2011年3月 5日 07:00

すみき～る（株）　代表取締役社長　的野　寛

＜カンボジアの子どもたちに　きれいな飲み水を提供する＞

学校へ通うカンボジアの子どもたち　今、日本では当たり前のことでも、世界ではそうではないことがあります。私の妻は東南アジアの子どもたちに寄付をする活動を以前からやっておりました。カンボジアなどの子どもたちにご飯を食べさせ、学校に通うための寄付です。現地の子どもたちから感謝の手紙が届きます。「ありがとう。ご飯を食べることができました」や「学校へ通うことができました」と。きれいとは言えない文字でしたが、しっかりと日本語で一生懸命に感謝の言葉がつづられていました。
　私はその手紙を見て、今の自分は世のなかのため、人のために何ができるだろうと考えるようになりました。親の世代となったことで、これまで社会から受けた恩を子どもたちに返したいという思いもあり、昨年１月に「ひまわり会」という有志の集いを結成いたしました。
　この会の目的は「青少年の健全育成活動を通じ社会の役に立つ」というものです。結成当時、カンボジアの子どもたちに学校を造ってあげることを目標に掲げました。学校の設立のためにはお金が200万円程度かかります。これを集めたいと発表すると、多くの方が賛同してくださり、すぐに目標の額を超えることができました。しかし、ただお金を集めて送るだけでは、何か違うのではないかと感じたのです。そうではなくて、自らが汗を流して空き缶を集めたり、募金活動をしたり、バザーを開いたりすることでお金をつくらないと意味がないのではないかと思ったのです。いったんお金はすべて返却して、一から活
動を開始することにしました。
　調べてみると、カンボジアでは５歳以下の死亡率が高いことが分かりました。これは飲み水がきちんと浄化されていないことが一因となっていると言われております。まずは生存率を高めるほうに協力すべきだと考え、目標を「水の浄化装置を送ること」に設定し直して、今も活動しております。一機あたり70万円ほどのお金が必要になりますが、皆様の厚意もあり今年中に実現できる見込みとなりました。浄化装置には「ひまわりの泉」と名付け、現地の子どもたちの役に立てる日を楽しみにしております。

＜出会ってよかったと思われる大人に＞

　日本の子どもたちにも何かをしてあげたいと考えております。日本は貧しい国とは違い、物があふれるくらい充分にあります。一方で、心の豊かさが失われつつあるように思います。学校や公的機関の活動に教育を任せるのではなく、自分たち一般の大人が子どもたちを見てあげること、そして理解してあげることが必要です。たとえば素行の悪い青少年の行動を力で抑えつける
のではなく、どうしてそのようになったのかを考え、ともに行動することができたら、と思います。
　私も決して立派とは言えない少年期を過ごしてきましたから、寂しい子どもたちが道を外れていくことはよく理解できます。まずは、その寂しさを理解すること。それも大人の務めではないでしょうか。ひまわり会が、その役割を一部でも担えたら、これ以上ない喜びです。この人と出会って人生が変わったと思ってもらえるよう、また、大人として胸を張って子どもに背中を見せられるように、ひまわり会と共に私は日々精進してまいります。
　自分のできることをやろう。

＜プロフィール＞
的野　寛（まとの　ひろし）
1967年６月生まれ。福岡県出身。05年に「すみき～る（株）」代表取締役に就任。就任時に50歳で社長を降りると約束し、周囲を驚かせる。趣味はゴルフと麻雀。尊敬する人物は坂本龍馬。