（株）博運社 代表取締役社長 眞鍋 博俊
＜「車の両輪」戦略で成長を遂げる＞
「この数年はトラック輸送を取り巻く様々な環境の変化に対応するため、効率化を進めてきたが、それもひと段落。人材が育ってきたので、新たな成長を目指し売上も伸ばしていく」と、"攻め"の経営を宣言するのは「株式会社 博運社」の眞鍋博俊社長。
同社は2010年、創立53年を迎えた福岡県最大手のトラック運送企業。トラック運送と倉庫を車の両輪に見立て、貨物の輸配送から保管、さらに様々な流通加工まで一貫して請け負う戦略で、総合物流機能を備えた九州でも有数のトラック運送企業に成長した。
物流はこの10年、大きな変革期に突入している。長期不況でトラック輸送量が伸び悩む一方、燃料の軽油が高騰、現在も高止まりしたままで運送会社の経営を圧迫している。
物流自体も大きく変わり始めた。同社の主力とする医薬品業界では、メーカーの合併と卸の再編が相次ぎ、物流もこれに伴って拠点の統合・集約化が進み始めた。
博運社でも、こうした変化に対応し、経営効率化を推進してきた。最盛期には800台を超えていた車両を段階的に減らし、2009年末には550台を切るまでに合理化したのもそのひとつ。
2004年８月に全国の大手医薬品輸送業者３社と共同でPJDネットワーク（株）（本社・東京都中央区）を設立したのも輸送効率を高めるのが目的。医薬品メーカーの集中する大阪では、これまで各社が単独で集荷を行なっていたのを、四国を本拠とする四国運輸株式会社との共同集荷に切り替えた。2009年４月より九州産交運輸（株）との業務提携を行ない、共同集荷もスタートさせた。眞鍋社長は「お互いに運行車両が減り、コスト削減になっている」と満足そうだ。
一方で、強い分野や輸送品質の向上には惜しみない投資を続けている。なかでも、人間の生命に関わり、厳しい品質管理を要求される医薬品では、約150台の定温管理された専用車両を完備し、更なる品質向上に力を入れている。車両にはデジタルタコグラフを搭載し、医薬品の品質に影響を与えかねないわずかな温度変化も見逃さない。そのような厳しい品質管理が評価され、九州における病院向け医薬品輸送のシェアは約7割。2009年４月より九州産交運輸と共同配送を始めた。
厳しい環境のなかにあって眞鍋社長が手ごたえを感じているのは人材が育ってきたことだ。創立50周年を迎えた2007年、「ひとづくり元年」を社内に宣言し、本格的な人材教育システムを導入した。「３年を経て成果が出始め、優秀な人材が育ってきた」と眼を細める。「新規営業先の開拓でも先頭に立ってくれる」と期待している。
「常に物的流通の両輪である輸送と保管との相乗効果を図りながら、物流商社として九州全域に渡るサービス向上に努める」という基本方針は変えない。
そのなかで、企業成長の牽引車と位置づけるのが、九州各地に展開している「走庫」だ。わけても、九州の物流の要衝・鳥栖ジャンクション近くにある福岡南流通センターは９千坪（約３万ｍ2）の延べ床面積があり、九州最大の規模を持つ。「走る倉庫」と称しているように単なる保管でなく、情報システムを活用し荷主の要望に応じて、短時間で加工から出荷まで出来るノウハウを持つ。アウトソーシング需要が高まるなか、新規荷主開拓の先兵役として期待されている。
＜プロフィール＞
眞鍋 博俊（まなべ ひろとし）
1950年10月11日生まれ、福岡県出身。修猷館高校から一橋大卒。住友商事入社。76年３月、博運社に入社し、取締役、常務、専務を経て96年２月、代表取締役社長に就任。趣味はゴルフとランニング。福岡シティマラソンの常連でもある。
＜会社概要＞
（株）博運社
代表者：眞鍋 博俊
所在地：福岡県糟屋郡志免町大字別府621
設 置：1957年１月31日
資本金：8,918万1,300円
ＴＥＬ：092-621-8831
ＵＲＬ：http://www.hus.co.jp/
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