4月の戦いまで残り日数はわずか―。4月1日告示、10日投開票のスケジュールが行なわれる福岡県議選および福岡市議選では各陣営、準備に余念がない。とくに同市議選では新たに手をあげる新人も続出しており、各選挙区で混戦・激戦が予想される。
そのようななかで聞こえてくるのは、"逆風"にさらされた民主党候補予定者の悲鳴だ。「自分の政策についても書かれてある党の広報紙を受け取ってもらえない」「菅政権に対する文句をさんざん言われる」など、事務所へのクレーム電話も多いという。先日、開かれた福岡県議選における新人候補予定者の激励会では、支援者からも「民主党のやっていることがまったく見えない」といった厳しい意見が寄せられていた。
以前、名刺やビラに『民主党』を書かない、党ののぼりを持って街頭に立たないといった、『隠れキリシタン化』が進んでいると書いたが、事態はついに『魔女狩り』の様相すら呈してきているようである。
4年前の福岡市議選で落選し、再挑戦する無所属の新人候補予定者は、「4年前は、有権者に『無所属です』と言うと、『あんた、民主党じゃなきゃ勝てないわよ!』と言われていました。しかし今は、『本当に無所属なのか? 民主党じゃないのか?』としつこく聞かれることもあります」と、実体験を語った。4年間で風向きは真逆となった。
6日夜、前原誠司氏が外務大臣の辞任を表明した。同日、前原氏は、福岡市内で県議候補予定の新人の激励会に出席する予定であり、5日から福岡入りしていた。それを急きょキャンセルし、東京へ戻ったというあわただしいなかでの退任劇であった。
問題となった政治資金規正法違反の経緯がどのようなものであれ、約6カ月という短期間で国家の要職たる外務大臣が変わることへの批判は避けられない。また、次期首相の最有力と目された前原氏の戦線離脱が、民主党の残された求心力に与える影響は大きい。同党から離脱する政治家は今後増えていく一方ではないだろうか。
『民主党』の看板を外すか、残って逆風を克服するかの決断が迫られている。どちらにしても、そこに強固な政治的信念がなければ、有権者に"本音"を見透かされるのがオチであることは言うまでもない。
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