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待ったなしの改革のとき!~福岡市・行政改革の実態(40・終)
行政
2011年3月 7日 07:00

 この連載もとうとう最終回となってしまいました。

 最後にお話ししたいことは、冒頭の繰り返しになりますが、「今まさに、待ったなしの改革のときである!!」ということです。
寺島浩幸氏 人口増加・高度経済成長の時代は、戦後の経済復興から始まったこともあり、大量生産、大量消費、規格統一の時代であり、できるだけ迅速に、日本中に一律に、公共投資や行政サービスを展開していくことが主眼でした。そして、官僚システムを代表とするピラミッド型の公務員組織は、組織内での命令系統が明確であり、行政自らが公共サービスの提供主体となって、大量に規格統一的に展開していくことについて大きな機能を果たしてきました。

 しかし、現在の「成熟社会」においては、人口減少・少子高齢化、経済の低成長に加えて、市民の価値観が多様化しており、行政需要や行政課題も複雑高度化してきています。厳しい財政状況であるにもかかわらず、地域の特性に応じたきめ細かい多様な施策を展開していくことが求められており、市域内に統一的に、金太郎飴のような施策を実施するだけでは市民の理解と共感を得ることは困難な状況になっています。

 このような状況においては、最早「公共(パブリック)」という分野を行政だけで担っていくことは困難です。市民、NPO、自治協議会、企業など多様な担い手と共働していかなければならない時代であると思います。そのためには、情報を外に出したがらない傾向にある、これまでの行政の体質を改め、「情報公開」と「共働」に向けて抜本的な意識改革を行い、「ボートの漕ぎ手(自ら公共サービスの提供主体となること)」から「ボートの舵取り(地域が必要とする公共サービスをコーディネートすること)」へと、その役割を大きく変えていくこと求められます。

 にもかかわらず、「政治・行政の仕組み」は、明治維新以来の中央集権型の官僚システムが営々と続いてしまっており、霞ヶ関の中央官庁によるコントロールの下で、地域の文化や特性を捨象した金太郎飴のような画一的な政策が、いまだに日本中に展開されているのが現状ではないでしょうか。「地域主権」こそが喫緊の課題です。
 大阪府の橋下知事や名古屋市の河村市長たちの「地域政党」の大きなうねりは、まさにこのことを物語っていると思います。
 現在の国と地方を合わせると900兆円を超える借金は、「社会構造と政治・行政の仕組みの乖離」が大きな要因であると言わざるを得ません。

 今こそ、成熟社会に相応しい「新しい政治・行政の仕組み」の構築が早急に求められています。この福岡市において、このような改革を実現していくためには、市行政のプロである市職員一人ひとりに決起していただきたいと思っています。

 明治維新は脱藩浪人と下級武士たちによる「草莽崛起」によって実現しました。福岡市役所の若手職員や改革派の職員のみなさん、ぜひ、私と一緒に立ち上がってください!

 市職員の仕事の喜びは「市民の笑顔」しかありません。「市民のために、市民とともに」の理念のもと、共に協力して、この福岡から日本を変えていきましょう!! いつでも連絡をお待ちしております。

 最後になりますが、いつも私のつたない文章を読んでいただいている読者のみなさんに心から感謝いたします。本当にありがとうございました。

(つづく)
【寺島 浩幸】

≪ 第39回「議会基本条例」 |

<プロフィール>
寺島浩幸氏寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制係長などを歴任し、2010年8月退職。在職中、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援

▼関連リンク
寺島氏ブログ
・ツイッターは、コチラ


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