世界レベルにおいて、ソフト・ハードともホテル業界トップクラスと評されるヒルトングループ。80カ国以上に3,000軒を超えるホテルと50万室を超える客室、世界中に10万名を超えるスタッフを擁し、業界をリードしている。
そのヒルトングループの国内ホテルの1つがヒルトン福岡シーホーク。2010年6月よりJALより事業を引き継ぎ、装い新たにスタートを切った。90年を超える長い歴史のなか培われた、本物のホスピタリティを提供し続けている。
同ホテルが、10年10月より食品プラントを提供するパーキテック(株)(本社:広島市、代表:吉田哲夫)とジョイントして、「調理残さ飼料化プロジェクト」に取り組んでいる。社内でのエコ意識がより高まりを見せ、ヒルトングループ全体でも注目されている。
2001年5月1日に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」いわゆる「食品リサイクル法」。07年12月1日に同法が改正・施行され、12年度までに業種別にリサイクルによる利用の実施率目標が設定された。ホテルなどの外食産業のカテゴリーは、40%のリサイクル率を設定されている。
そうした環境のなか、ヒルトン福岡シーホークは食品プラントメーカーであるパーキテックとジョイントし、「調理残さ飼料化プロジェクト」の一環として飼料化プラントを同ホテル内に設置。ホテル内で発生した調理残さを廃棄することなく、ガスバーナーにより熱風乾燥処理し、飼料原料へリサイクルしてリユースする仕組みである。
「以前からエコロジーおよび省エネへの意識は、グループ内でも高まっておりました。食品リサイクル法のリサイクル率目標設定もあることから、社内協議のうえ、パーキテック様とご縁がありプロジェクトをスタートさせました。飼料化のリサイクルもさることながら、これを活用して資源の循環型ビジネスへの参加も実施致しております。10年10月からスタートし、飲食関係のスタッフのゴミ出し意識が大きく変わり、ホテル内一体となって省資源化に取り組んでおります」と、同ホテル施設グループの松島氏は語る。
客室1,052室、レストラン15店舗、および各厨房で毎月平均、20トン近くもの飼料化の対象となる調理残さ=生ゴミが発生。1日2稼動で生ゴミから飼料原料を製造している。生ゴミが廃棄物として焼却されるケースと比較して、飼料化プロジェクト実施によりCO2が95%削減できるという環境保全の側面においても、多大な貢献をしていることが証明されている。また『エコツアー』と題して、飼料化プラントの稼動やほかの省エネ施設を見学してもらう企画も開催済みで、今後の開催も計画中である。
この飼料化プロジェクトは、ヒルトングループそして福岡県内のホテルでも初めての導入であり、業界内でも注目されている省資源化の仕組みである。エコ・省エネだけでなく、リサイクルされた飼料の利用で、我が国の喫緊の課題である食糧(料)自給率の向上・改善に役立つという意義もある。
顧客への心温まるサービスの提供だけでなく、内観的な面でも志高く真摯に取り組む。この飼料化プロジェクトは、同ホテルにおいてまだ黎明期の段階であるが、本物の食品リサイクルへの取り組みが社会へ多大な成果をもたらす日は、限りなく近い。
【河原 清明】
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