第1回目のコラムで、『人事評価制度は、継続的に社員を成長させる仕組みであり、人材育成を通して経営目標を達成することが本来の目的』とお話ししました。ではなぜ、人事評価制度は人材を成長させることができる仕組みなのでしょうか。それは、人事評価制度を通じて人材の成長を継続的に支援していくからです。
これは、評価制度運用のプロセスをご覧いただくと、わかりやすいと思います。下の図を見てください。これが評価制度の運用プロセスです。
評価制度には単に「評価を伝えて終わり」ではなく、「評価」「課題の明確化」「育成面談」「目標設定」「進捗管理」「達成度確認」、そしてまた「評価」へというプロセスを永遠に繰り返していくのです。
いかがですか? このプロセスがきちんと継続できていれば、人材が成長するはずですよね。なぜなら、評価で部下の現状を明確にして、課題を抽出する。その課題について「育成面談」で目標設定し、次の評価までの間に進捗管理を行ないながら、確認、改善を行なっていくわけです。これが正しく行なわれていれば、目標の達成と本人の成長につながるはずです。そういう意味で、人事評価制度は継続的かつ自動的に人材を成長させていく教育の仕組みであり、結果として、組織を自動成長させていくエンジンとなるのです。
私が約15年間、中小企業の人材に関する仕事をしてきて思うことがあります。それは、中小企業は、本当にもったいないことをしているなーということです。なぜもったいないのか。それは、今いる社員が持っている力を発揮しきれていない場合が実に多いからです。
個々の社員が能力をフルに発揮しきれていない。結果として、会社としての組織力
も強くなりません。社員の能力を活かしきれれば、会社としてのパワーも相当あるはずなのに、と残念に思うのです。
これには、さまざまな原因が考えられます。「上司が頼りない」「会社の制度に納得できない」「社長の考え方がわからない」「会社がこの先どうなるかがはっきりしない」「同僚とうまくやっていけない」......等々。
『残り97%の脳の使い方』なんていう本も出版されていましたが、人間の能力は、90%以上は潜在能力として眠っており、使いきれていないというのが通説です。
人事評価制度はこの潜在能力、発揮されていない、本来その人が持っている能力を引き出すことができるのです。
なぜなら、先ほど例であげたような、能力の顕在化を阻害する障壁を取り除くことができるからです。評価や育成面談、その他のコミュニケーションの場を通じて、本人が能力を発揮できていない原因が明らかになってきます。その社員一人ひとりの原因に対処していくことで、障壁を一つひとつ取り払っていくのです。
▼シリーズ一覧
1)今、中小企業の安定的経営、成長のために必要なもの
2)中小企業の成長を阻害する要因
3)人事評価制度が求められている時代
4)人事評価制度は組織の自動成長装置
日 時: 2011年4月7日(木) 17:30~20:00(受付開始17:00)
会 場: TKP天神シティセンター【S-2】
福岡市中央区天神2-14-8 福岡天神センタービル8F
参加費: 1名様/5,000円(税込)
お問合せ: 日本人事経営研究室(株) 担当/新谷陽子
TEL:092-433-5546
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