未だ余震が続き本格復旧の目処がつかない東北地方だが、岩手の銀行員の話によれば状況はかなり厳しい。海岸線の支店に関しては壊滅した店舗の復旧計画の策定中で、行員で連絡が取れない行員も数人いるということだ。本部では、何から手を着けていけばよいのかという議論が繰り返されているが、最低限の交通網が整わないと絵に描いた餅となるためジレンマ続きの状況だという。
生活面に関して、地震発生から3日間は盛岡市内でも水道を始めインフラがほとんどストップしてしまい苦慮したという。ただ連日報道されている通り、物が無いということも深刻のようだ。コンビニやスーパーの陳列棚にはまったく商品が無く、買えるものは缶コーヒーと酒位しかない。避難所で配給が行なわれているとのことだが、この状況が続けば家庭内の食料ストックが底をつくのは確実で、この行員自身配給生活が現実味を帯びてきている事を肌で感じている。ガソリンについてもスタンドに長蛇の列をなし、その結果1人あたり入れられるのは10リットルまでという制限をかけている所が多く、市内を走る車輌の数も通常の6~7割という状況とのことだ。
この行員と話した最後の言葉が印象的だった。「ここは日本なのか、という感じだ。まさか配給という事態が自分の身の周りに起こるとは考えもおよばなかったし、いまだに実感が沸かない。ただ、各々が復興に向けた行動を日々心がけるだけだ」。
【神田将秀】
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