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東日本大震災

真剣に考えるべき70年前の『提言』(1)~高台への移住
東日本大震災
2011年3月18日 11:59
「もう君たちの代にはこんな大津波はないだろう。しかし、子孫のためを考えるんだ。村の百年の大計どころか、百世にわたる仁政ではないか」。

 1933年(昭和8年)、「宮城県沖地震」で津波被害にあった三陸海岸部に住む人たちに向けて高台への移住を提言した際に使われた言葉である。地震学者で東京帝国大学の今村明恒教授は、遡ること70年以上前にこれを提言したのだ。(3月15日付、東京新聞)

津波に襲われた宮城県石巻市(11日). 11日に発生した大震災は、東北地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。まだ被害の全貌を把握できていないが、とくに被害が甚大であった岩手県や宮城県の沿岸部では街が消滅している状況である。そのようななか、岩手県大船渡市三陸町のある地域は海岸沿いに集落があるにもかかわらず、大津波の被害を回避できた。何故かと言えば、前述の今村教授の提言を受け入れ、70年ほど前に沿岸部から高台に移住したからである。当時、今村教授は津波被害から住民を守るため、政府を巻き込んで高台への移住を進めたようだ。

 これまで30年から40年周期で繰り返し発生してきた「宮城県沖地震」。また、宮城県沖地震ではないが、三陸沖は震度4から5レベルの地震が多発する。その度に津波警報が発令され、住民は高台などへ避難している。過去の経験により、水門の設置や指定の避難場所があらかじめ準備されていたが、今回の震災はその想定をはるかに上回るものであった。要は機能しなかったのだ。三陸沖は地震多発地帯である。規模の大小はあるだろうが、30年から40年後、宮城県沖地震は再び発生する。地震に伴う津波も発生する。では、今後はどうすべきなのか―。

(つづく)

【新田 祐介】


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