東北地方太平洋沖地震の発生から1週間が経過した。被災地の規模が広いことから、いまだ詳しい被害状況が把握できず、行方不明になったままの人々は多い。
西日本一の繁華街である中洲は、企業の支店が多い福岡市に位置することもあって、常連客のなかには東北地方から来る人もいる。福岡を訪れた際、中洲へ飲みに行くのは出張の楽しみのひとつだ。そういうわけで、中洲のママさんや女の子たちも震災が発生してから、連絡が取れなくなったお客さんの身を案じる日々が続いている。
そのようななか小生が訪れた店は、まだ早い時間帯ということもあるだろうが、以前来た時よりもなんとなく沈んだ雰囲気であった。
「地震が起きてから3日ぐらい経っても、メールや電話をしても全然連絡が取れん人がいてね。そのお客さん、漁師さんやったから津波に飲み込まれたんじゃないかと心配で...」と、チーママが心痛な面持ちで語った。また、身内が東北地方にいるという女の子は、「姉からメールが来るまで、ずっと心配で眠れなかった」という。
同僚の支店社員の安否がまだ定かではない状況では、気楽に酒が飲めるような気分にはなれない。小生も親友が東北地方にいるが、いまだ連絡は取れていない。
多くの人が苦しんでいるなか、災害のせいにするわけにはいかず、店の人間は決して「客が減った」とは言わない。しかし、街や店の様子を見る限り、売上に影響が出ているのは間違いないだろう。
「東北地方のお客さんがまた飲みに来たとき、最高の笑顔で迎えてやらんといかんよ。そのためにも、今のお客さんを大事にして、この店を守っていかないかん」と、ママは女の子たちを鼓舞していた。
長丘 萬月(ながおか まんげつ)
1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。
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