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特別取材

強かな企業征圧劇 鐘川製作所の策略(1)~2つの選択
特別取材
2011年3月19日 07:00

 表には出ず、水面下で画策される企業ドラマは数多くある。生死を賭けた攻防戦が、人知れず繰り返されている。勝利した者は企業経営をさらに隆々と発展させ、敗北者は地獄に落ちていく。今回は本業の低迷を打開するために躍進する可能性のある事業を掌握した㈱鐘川製作所の経営陣の辣腕ぶりを紹介してみよう。

<ある会社専務の株主資格収奪の相談を巡って>

資料1:(株)オーシャンテックワールドの法人登記 2月末、筆者は(株)電子商事(本社・福岡市中央区)の中野武志社長から、2つの相談を受けた。その場には、後述する山本浩二氏も同席していた。まず1つは、ある会社の専務の株が取り上げられることに対する対応策である。どういうことかというと、(株)オーシャンテックワールド(本社・福岡市中央区、資料1:法人登記参照。以下O社)の専務である山本浩二氏の同社の持ち株150株を「ゼロにしろ」と、鐘川邦次朗社長から迫られているというものであった。

 同社の鐘川社長が「ゼロにしろ」という強要する理由は、それなりの根拠がある。詳細は省くが、要は「専務として会社に迷惑を与えた。責任を取って持ち株の権利を放棄しろ。そうすれば、経営責任問題は不問に付する」というのである。山本専務本人は「もう資金繰りに疲れた。会社から離れたい。株主の権利を取り上げられても結構だ」という投げやりの気分に浸っていた。本人としては、争うつもりはない意向のようだ(資料2:有価証券取引書)。

 筆者は直感した。「近々、O社の株主総会があるのではないですか?これは鐘川氏の株主多数工作の一環だと思いますが」と意見を述べた。
 「さすが勘がいいね。やはり調査のプロだ。この通り、3月9日に臨時株主総会を招集するという通知が来ているのだよ」と中野社長は「株主の皆さんへ」という通知書を見せてくれた(資料3:臨時株主総会招集のご通知)。「実は、この臨時株主総会への対応策をお願いしたいのだ」と2つ目の相談案も提示された。

資料2:有価証券取引書資料3:臨時株主総会招集のご通知

 「鐘川社長は、本当にO社を清算するつもりでいるのですか?」と尋ねた。すると山本専務は、「決して会社は債務超過ではない」と断じた(資料4.:O社の1期目決算書)。
 中野社長は次のように読んだ。「相手は2つの選択案を設定しているはずだ。2案は、株主の多数派を形成すれば、O社をそのまま存続経営するだろう。1案は、我々が鐘川社長の独走を阻止するとすれば、会社清算に踏み切るはずだ。そしてO社の事業を(株)鐘川製作所(以下K社)の直轄事業にするだろう。本業の建築金物関連だけでは非常に苦しいK社にとって、O社の仕事は美味しいからね」。

資料4:(株)オーシャンテックワールド 1期目(10年5月期)決算書

 K社の経営内容に関しての詳細および、K・O両社の関係は後述する。ここで簡単に経緯に触れておくと、O社は水産関連のプラントを受注し、そのプラントの中核部門をK社が受ける。K社の従来の本業は、受注が減り単価が厳しい。この2年間はO社の仕事で潤いを得てきた。
 だからこそK社の経営陣としては、「O社を自由に操りたい」気分になることは十分に理解できる。そのためには、「うるさ型」の中野社長グループの株主たちを排除してこそ、自由が得られるのだ。

 「ところで、中野社長は最終的には、O社の経営権を握るつもりなのですか?」と、最終的な狙いを質問した。「いやー、O社を直営するつもりはない。鐘川氏に社長を要請している経緯があるのだから、取り上げるつもりはない。ただ、山本専務の指摘の通りに、債務超過などの事実隠蔽の画策がある。まずは事実を赤裸々にして、O社の方向性を明確にしたいのだ。ただ、それだけのことである」と、腹の内を明かしてくれた。

(つづく)

【児玉 直、楢﨑 賢治】

COMPANY INFORMATION
(株)鐘川製作所
代 表:鐘川 喜久治
所在地:福岡県粕屋郡須恵町大字上須恵1495-1
設 立:1966年10月
資本金:4,000万円


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