中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
東北地方太平洋沖地震から1週間が経過しようとする17日、中国では塩の買占め騒動が発生しているようだ。
福島第一原発の放射能漏れ事故に端を発し、福島に雪が降っているため放射性物質が海に流れ出し、やがて中国近海も海洋汚染が進み、汚染されていない海塩が取れなくなるとの憶測が広がったためらしい。なんというイマジネーションの大きさだろうか。さらに、食塩に含まれるヨウ素が被爆防止に効果があるとのデマがこれに拍車をかけた。いまやこのうわさは中国全土に広がり、スーパーでは食塩が品切れ状態だという。
中国では2007年に「ニセモノ塩」(工業塩)事件が発生し、食塩の安全性に関する国民の関心も高いためだろう。中国政府はテレビやラジオで「うわさやデマに惑わされないように」と告知し、沈静化に躍起になっているようだ。同日発刊された、中国青島市の青島早報によると、中国では新規原発の建設を凍結、安全基準の見直しを開始したとのこと。
また、青島は海に面しており近海の海洋環境の変化を24時間監視しているということだ。
福島第一原発の問題については世界中から注目を集めているが、青島市民は、市内から約130キロメートルの距離のところに、福島と同じような、海に面した原発が計画されているだけに、福島第一原発事故の結末に特に高い関心を示しているようだ。
【杉本 尚大】
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