現在、福岡市で検証が進められているこども病院の移転計画に関し、事実ねつ造の疑惑が浮上した。
2008年5月12日、市は、アイランドシティ(人工島)以外の移転候補地にあげられていた九州大学病院横の敷地について、同病院の久保院長にその可否を問い合せた。問題となるのは、そのコメントの一部が削除されたかたちで同年8月に公表されていたことである。
調査報道サイト「HUNTER」(ハンター)が入手した、市で保管されていたメモによって発覚した。
このメモによると、こども病院が九大病院敷地内へ移転することの可否について、久保院長は「敷地内への建設は物理的に難しい。新棟整備に伴う再整備計画は未定だが、不足している駐車場を増設する必要があるし、数十年後の病院建替用地を見込む必要がある」と回答していた。ところが、「新棟整備に伴う再整備計画は未定だが、」の箇所だけが削除されて公表されていた。
当該箇所がなくなることにより、久保院長の私見的コメントが、あたかも九大の計画に基づく見解というような印象を与えるものになってしまう。
さらに市は、「こども病院移転計画調査委員会」(委員長:北川正恭早稲田大学大学院教授)から九大側の意志について確認を求められた際、一節が削除されたままの内容を含む高島宗一郎市長宛ての文書を作成し、久保院長に署名させていた。
同調査委員会は、移転計画における不透明なプロセスを明らかにするために設けられた。今回の事実隠ぺい疑惑が浮上したことで、議論が紛糾する可能性は高い。第5回調査委員会は、27日午後1時から福岡市役所で開かれる。
なお、問題のメモについては「HUNTER」で公開されている。
【行政取材班】
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