23日、中小企業庁、被災した中小企業各社が被災現場の復旧作業や被災後の事業の立ち上げに注力できる環境整備のため、資金繰り支援策を発表した。同庁が発表した支援策は以下の通り。
1.特別相談窓口の設置
日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、中小企業基盤整備機構支部、経済産業局など
2.被災した中小企業者の既往債務の負担軽減(日本公庫・商工中金・保証協会)
被災した中小企業者の資金繰りに重大な支障が生じないよう、返済猶予など既往債務の条件変更に柔軟に対応。この点は、民間金融機関に対しては、金融庁・日本銀行から3月11日に要請済み。公的金融機関に対しては経済産業省から3月14日に要請済み。
また、日本公庫・商工中金においては、被災後返済期日が到来していても、返済猶予の申込みすら困難な状況が続くことが予想されるため、遅れて申込みをした場合でも、遡及して返済猶予に対応。さらに、被災した中小企業者の実情に応じ、本人確認などの審査書類の簡素化、契約手続きの迅速化などを通じて、窓口における親身な対応、適時適切な貸し出し、柔軟な条件変更を実施する。
3.災害復旧貸付(日本公庫・沖縄公庫)・危機対応業務(商工中金)
(1).制度概要
○長期的な資金(設備資金、運転資金)の融資。今般の東北地方太平洋沖地震の被災中小企業者。
(2).制度内容
〔1〕貸付限度額:日本公庫中小事業1億5,000万円、国民事業3,000万円(いずれも別枠)
商工中金1億5,000万円(別枠)
〔2〕貸付利率(※):日本公庫(中小事業1.75%・国民事業2.25%)、商工中金1.75%
※貸付期間5年以内の基準利率(2011年3月12日現在)。利率は返済期間等の事情により変動。
〔3〕特別措置の対象者
以下に該当する中小企業者等については金利の特別措置(上記貸付利率▲0.9%)が受けられる。(貸付後3年間、借入額のうち1,000万円を上限とする。)
○直接被害:事業所又は主要な事業用資産について、全壊、流失、半壊、床上浸水その
他これらに準ずる被害を受けた被災者
○間接被害:被災事業者の事業活動に相当程度依存しているなどの要件を満たす方
何れも自治体からの罹災証明書が必要になる。
4.災害関係保証(保証協会)
(1).制度概要
金融機関から事業再建資金の借入を行う場合、保証協会が保証。東北地方太平洋沖地震による災害により直接的に被害を受けた中小企業に対する制度。
(2).制度内容
〔1〕保証限度無担保8,000万円、普通2億円(一般保証とは別枠。100%保証)
〔2〕保証料率概ね0.8%以下(各保証協会により異なる)
〔3〕資金用途事業再建資金
〔4〕保証期間─個別に各保証協会と協議・相談
〔5〕担保─弾力的に取扱い
〔6〕保証人原則不要(代表者保証は必要)
(3).本制度の対象者
当該災害により、事業所、工場、作業所、倉庫などの主要な事業用資産に、倒壊・火災などの直接的な被害を受けた事業所の所在地の市区町村等から、災害により被害を受けたことを証明する罹災証明書の発行を受けた中小企業者。
ただし、申込者が激甚災害による被害を受けたものの、保証申込み時点で、災害直後の混乱や現地の事情などにより市区町村などが罹災証明書を発行することが困難な場合であって、災害救助法が適用されている地域の市区町村等に発行を申請する場合については、事後の提出を条件に、発行前でも保証の申込みを行なうことが可能。
被災により失ったソフト・ハードともに、再構築して事業を再開するには相応の資金は必要である。助成ではないが、当面の資金調達策としては有効ではないだろうか。早期の復旧のために是非とも活用していただきたい。
【河原 清明】
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