福岡県議会は、4月1日から9日までの福岡県議会議員選挙の期間中、午前8時~10時までと午後6時~8時までの時間帯、選挙カーによる選挙運動を自粛することを各会派で申し合わせた。
そして3月18日、この自粛内容が書かれた文書を、現在、会派に属していない無所属の新人候補予定者に対しても、「協力要請」として郵送で送った。同文書の差出人には県議会議長、副議長以下、各会派代表が名を連ねている。今回取材した無所属の新人候補は、この申し合わせに関する話し合いに呼ばれていない。
文書を送りつけられた無所属の新人陣営は、「協力要請と言いながら、自分たちで勝手に決め、『足並み』をそろえろと押し付けられるようなものだ」と困惑。ちなみに辞書的な意味では、自粛とは「自分から進んで、行ないや態度を慎むこと」とある。
同文書によると、「東北地方太平洋沖地震の被災者の皆様の苦しみ、お気持ちを考え」て、選挙カーを自粛する申し合わせをしたという。しかしそもそも、選挙カーを慎んだことで、何か被災者のためになるのだろうか。その真意に疑問符がつく。なお、同様の自粛は、福岡市議選においても行なわれる。
しかしながら、ただ音を控えるということだけではなく、その朝夕の各2時間を「被災者支援」や「防災対策」などに限定して街頭で訴え、有権者の意識を高め、選挙に反映させるといった建設的な内容にまで踏み込めないものだろうか。
被災地を除く、統一地方選の実施には賛否両論あったものの、行なわれる以上は、各自治体の将来だけでなく、今後の被災地支援も含めて考えてほしい。そうすれば、東日本大震災の被災者にも関わってくる。重要な選択が行なわれるように立候補予定者は自覚し、行動に移すべきではないだろうか。
今、政治家には、国家的危機に瀕したわが国において、積み重なった問題、浮かびあがってきた課題を解決すると同時にビジョンを示し、政策を立案することなどで国民に希望を与えることを期待したい。したがって今回の選挙は、今まで以上に熱を帯びるべきではなかろうか。有権者一人ひとりが真剣に考える機会となるように、取り組むべきである。
【山下 康太】
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