ファミリーレストランの草分け「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングス(HD)は、3月25日の株主総会で榎本一彦最高顧問と今井明夫善解消の取締役退任が確定した。当事者を外すことで内紛が収拾するのか注目される。
<会長解任で内紛発覚>
1月14日付けで当時の今井明夫会長を含む13名の株主が会社側に株主提案を提出した。求めたのは経営陣の刷新。今井氏を含む取締役7名と監査役2名の選任である。異例だったのは、役員候補には会社側であるはずの菊池唯夫社長と矢崎精二取締役が含まれていたことだ。実際に株主側は菊池社長を「優秀」と評価している。にも関わらず、今回の行動に走ったのは「1人の非常勤取締役による会社の私物化とそれを黙認する状況」を打破するためだ。
対象は榎本一彦取締役最高顧問。提案書によると、ロイヤルグループのリッチモンドホテルの運営子会社を自らが所有し、代表取締役を務める会社に売却するよう要請、自身の親族を同ホテル子会社の社長にするよう菊池社長に指示したとされる。
双方、弁護士立ち会いのもと協議がもたれたが決裂。2月3日に会社側は議案に反対。今井氏を適格性に欠けるとして会長職から外したことを発表し、内紛が表面化した。今井氏と榎本氏を3月25日の株主総会で取締役から退任させる提案することを決定した。
株主側は、ロイヤルホストが顧客満足度アンケートで最下位になるなど株主の期待に反していると指摘している。また、顧客サービスよりも短期的利益の確保を第一とする経営方針に転換したこと、業務改善がなされず、人件費などの経費削減がなされたことで営業現場が疲弊し、顧客からのクレームが増加したことなどを指摘している。
これに対し会社側は、取締役会において社外役員を含めて自由活発な議論を行なったうえで経営判断しているとして、榎本氏による実質支配や私物化を完全否定している。また、株主側が指摘した顧客満足度調査については、調査された時期は今井氏が代表取締役を務めており、自身の経営責任を転嫁している。
今井氏ら株主側はさらに反論。08年11月以降、今井氏は営業部門の権限を奪われ方針決定に関与できなくなったとしている。
【鹿島 譲二】
COMPANY INFORMATION
ロイヤルホールディングス(株)
代 表:菊地 唯夫
所在地:福岡市博多区那珂3-28-5
設 立:1950年4月
資本金:136億7,617万9,700円
売上高:(10/12連結)1,104億4,000万円
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