きょう(30日)、東京電力の勝俣恒久会長は、福島第一原発の事故では初となる記者会見を開き、同原発1号機から4号機までを「廃炉にせざるをえない」という考えを明らかにした。
会見のなかで勝俣会長は、「建屋の爆発や放射性物質を外部に放出したことによる大気への拡散などで、広く社会に不安とご心配、ご迷惑をおかけし、心から深くおわび申し上げます」と、陳謝。前日の29日夜、東京電力の清水正孝社長が極度のめまいなどの体調不良で入院しており、大きなプレッシャーがかかるなか、会見の姿勢について賛否両論あるものの電力会社のトップとして勝俣会長が記者会見に臨むかたちとなった。
一方、西日本・九州の電力会社のトップは、まったく異なる戦いに挑んでいる。4月10日に投開票が行なわれる福岡県知事選挙である。九州電力のトップである松尾新吾会長は、経済産業省OBで元内閣広報官の小川洋候補を支持。小川陣営の選挙対策本部長、後援会会長、さらには支援団体「福岡県の未来をつくる会」代表として陣頭指揮を執っている。
その熱の入れようから、有権者の間からは「まるで松尾会長が知事選に立候補しているようだ」という声まで出ている。
もちろん、福岡でも福島第一原発の事故について有権者の関心は高い。知事選告示日(24日)、九州電力は緊急会見を開き、玄海原発2、3号機の運転再開を当面見合わせることを発表した。しかしながら、福島第一原発の今後の状況によっては、東京電力だけではなく原子力発電そのものへの否定的な見方が強まるだろう。同じ国の電力会社のトップとは思えないほど、その温度差は激しい。
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