5日、福岡市博多区で、国際協力NGOフリーピース(岩本達夫会長)の主催による4月の統一地方選に伴う公開討論会が開かれた。フリーピースは、立候補を予定している新人を対象に参加を呼びかけ、これに応じた5名が討論を行なった。
今回参加したのは、県議候補予定者からみんなの党公認(博多区)の会社経営・岩本壮一郎氏(30)、市議候補予定者から無所属(早良区)の塾講師・飯野健二氏(49)、みんなの党推薦(博多区)の会社員・平石洋介氏(34)、無所属(南区)の元会社員・本山貴春氏(28)、無所属(中央区)の主婦・加藤じゅん氏(44)。
討論は、「福岡経済の活性化」、「福祉政策」、「公費の削減」などの3つをテーマにパネリストがそれぞれの主張を述べ、それをもとに互いに質疑応答を行なうかたちで行なわれた。
<人工島活用をめぐり議論が白熱>
最初のテーマであった「福岡経済の活性化」については、岩本氏「若者の起業支援による支店経済からの脱却」、飯野氏「人工島(アイランドシティ)に日本の人気漫画のテーマパークを建設といった観光の目的地作り」、本山氏「規制緩和・特区申請による環境整備をし、行政福岡の誇る飲食サービス業にコンテンツ産業を加えた新産業を創出する」、平石氏「メンテナンス(補修)の公共工事を増やす失業対策」など、さまざまな主張を述べた(加藤氏は遅れての参加のため、最初の議題には未参加)。
質疑応答は人工島の活用について。飯野氏「第3セクターではなく民間主導で行なう。これまで市議会のチェック機能が働いていないことは問題だ」、本山氏「人工島事業は、バブル時代に始まった官僚主導の象徴」とする意見に対し、岩本氏「人口減少を前提に新しいものを考えるべき、政策によって方向性を与えなければならない」といった内容で議論が白熱した。
<議員報酬削減は必要>
一方、「福祉政策」では、地域コミュニティーを活用した「お金をかけずにできる福祉」(岩本氏)という内容でおおむね一致。この議題から参加した加藤氏は、質疑応答で「保育経験のあるお年寄りを活用し、公民館で待機児童を預かる」といったアイデアを披露した。
最後のテーマである公費削減においては、岩本氏「削減は財政再建の手段として行なうべき。成果給制度の導入、効率化を図ったうえで総人件費の2割カットおよび議員報酬の3割カット」、飯野氏「職員意識の改革とメリハリのある予算」、本山氏「評価制度は教職員から始めて実績を作る」、平石氏「議員はボランティア」、加藤氏「議員報酬は半分に、必要経費をプラス」といった意見が出された。議員報酬の削減に関しては、すべてのパネリストが共通して行なうべきとの考えをもっていた。
その後、会場からパネリストへの質問が行なわれた。筆者からの「政務調査費の使途基準を自分たちで決めてきた現職議員も残る議会で、どのようにして変えていくのか」との問いに、岩本氏・飯野氏「ブログなどで情報を発信し、世論を形成」、本山氏「民間有識者による第三者監査機関の設置と、自ら率先して政務調査費の中身をウェブサイトで公開」と回答。平石氏と加藤氏もこれらに賛同した。
各区で大多数が立候補する統一地方選の特色上、市長選や知事選とは違って公開討論会が開かれる機会はほとんどない。しかし、有権者の選挙に対する関心を高め、中身の異なる候補者の主張を知るうえでは、討論会は良い機会である。今後、より質の高い政治家を生み出していくためにも、公開討論会を選挙制度の一環として導入すべきではないだろうか。
*記事へのご意見はこちら