まず、3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被害に遭われた皆様のご無事と犠牲者に対するお悔やみを申し上げたい。
同地震の発生以降、各地で記念式典やイベントの中止が相次いでいる。福岡では12日に予定されていた、博多阪急開業に次いで目玉行事だった九州新幹線全線開通に関する式典がすべて中止となり、静かな発進となった。
こうした「自粛ムード」が全国的に広がるなか、兵庫県伊丹市に在住する松本孝行氏が「不謹慎・自粛ムードに関する反論」と題して注目すべき発言をしている。「この地震があってからというもの、Twitterを始めとしたウェブ上では自粛・不謹慎ムードが大変大きくなっています。しかしながら私は、この自粛・不謹慎ムードに明確に反対したいと思います。(中略)こういった不謹慎だから発言を自粛しろ、という空気が蔓延すると、Twitter上で自由に発言が出来なくなる可能性があります。(中略)現在の日本は不謹慎・自粛ムードが漂っています。しかしこんな時だからこそ普通に生活出来る人は普通に生活をすべきです。ものを買い、サービスを受け、娯楽を楽しむことが日本の経済を、引いては災害地の復興を助けることになるのではないでしょうか」。
堀江貴文氏もツイッター上で「首都圏での過剰な経済活動の自粛はやめてほしい。どんどんかせいで出来る範囲で(ここ大事。無理しない)寄付しよう!」と述べ、ジャーナリストの佐々木俊尚氏も「インドネシア大津波の時、アジアンリゾートへの日本人の旅行自粛が現地の人たちを長く苦しめたことを思いだそう。僕たちは消費によって被災地を救えるということを忘れてはならない」「自粛反対と言った私に『気が狂ってるのか』『何様だ』『ふざけるな』と激しい非難がやってきている。でも自粛には反対な気持ちには変わりはない。生産消費活動を皆で続けたいと思う」と述べている。
一時、「関西電力が節電を要請している」というチェーンメールが出回った。しかしそれはデマで、さらに関西以西で節電をしても周波数が違うためそれほどの効果が期待できないと言われている。
無理な「自粛ムード」を演出すべきではないし、ましてや他人へ自粛を押しつける、いわば"他粛"は日本経済のためにならない。それよりも松本氏などが述べるように、明るいイベントを開催してそこで義援金を募った方が、よほど被災地の方々のためになるし、沈滞ムードにさらされている被災地以外の人たちにとっても活力となる。ビジネスの展示会しかり、野球やサッカーといったスポーツしかり、である。
ともかくも、一刻も早い復興を願い、被災地以外の方々にはさらなる経済の活性化と被災地へのさらなる支援を期待したい。
【大根田 康介】
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