物資補給がままならず、被災地の避難場所で病気患者や高齢者が尊い命を失っているなど、東北地方太平洋沖地震による被害は収まる気配を見せない。福島第一原発では、東電社員、警察、消防、自衛隊が決死の覚悟で沈静化へ向けての作業を続けている。いまだ災害は続いていると見るべきであろう。
被災地から遠く離れた九州・福岡でも、義援金や支援物資を集めようとボランティアが街頭に立つ。テレビ、新聞などで報じられる被災地の悲惨な状況に心を痛め、今すぐにでも助けに行きたいという有志の人々は、混乱が続く現地へ入ることを自粛するよう求められ、歯がみする思いだという。
「今できることを考えよう―」。多くの人たちがそう考え、行動している。
そうした状況など、まったく関係ないと言わんばかりに、義援金ではなく『政治資金』を集めようという無神経な集会があった。18日夜、調査報道サイト「HUNTER(ハンター)」が報じたところによると、同日18時から福岡市博多区のホテルで福岡県知事選の立候補予定者陣営による政治資金パーティーが開かれた。
問題のパーティーは「おがわ洋さんを励ます会」で、24日に告示される福岡県知事選へ出馬を予定している元内閣広報官・小川洋氏の支援団体「福岡の未来をつくる会」が主催した。主催者発表では、地元経済界関係者ら約1,000人が参加し、パーティー券は1枚2万円であったという。また、同団体の代表は九州電力の松尾新吾会長で、「小川洋後援会」の代表も務める。
「HUNTER」の取材に対し、同パーティーの会計責任者は「すでにパーティー券を売っており、どうしようもなかった。資金集めだから・・・。その代わり、酒や食事を自粛し、九大教授の講演を聴いてもらうことにした」などと説明したという。"自粛"して浮いた分、パーティー費用は大変な黒字になったのではないか―。
一方、参加した企業の経営者からは「こんな時期にやるべきではない。なぜ、強行するのか」、「集めた金を義援金に回して欲しかった」という声が漏れている。
このパーティーが行なわれたことに対し、現在、政治活動を中止し、街頭で募金活動を行なっている統一地方選の立候補予定者からは「常識を疑う」、「自粛というなら集まった金の半分を義援金として送るべきではないのか」、「福島第一原発の事故が問題になっているなか、同じ電力会社のトップが選挙で浮かれている場合ではないだろう」といった批判の声があがった。
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・調査報道サイト「HUNTER」
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