1976年から34年間、一貫して中国とビジネスで関わってきた、九州食品流通科学研究所の社長、小林修氏。彼から見た、これまでの中国経済の発展の歴史とこれからのビジネスチャンスとは?
<資産14億円超が約5万人の中国>
今、アジア進出を考えている中小企業は多い。そこで、アジアでのビジネスの可能性について考えてみる。2010年の通商白書によると、アジアの中間層、富裕層はそれぞれ、今後10年以内に2倍から3.5倍に増えると予想されている。日本は今後伸びる要素はないと言われているが、数字を下支えしているのは、もちろん中国だ。中国の勢いはすさまじい。アメリカCIAのレポートによると、中国のGDPは日本の1.8倍と報告されている。OECDのレポートでは、1992年の段階で、すでに日本は抜かれていた。これは日本ではなかなか知られていない事実なのだ。
中国人の富裕層について調べたデータがある。その2010年の資料によると、資産が1億元(約14億円)ある人は、中国国内に5万人いるそうだ。さらに、資産が0.1億元(約1億4,000万円)ある人は87万5,000人いるとされている。そして、そういう人たちの職業は、会社経営者、大企業の社員、不動産所有者、個人投資家、政府関係者、大学関係者などだ。
ABAC(APECビジネス諮問委員会)事務局の資料によると、アジアの中小企業がグローバル市場に打って出る際に、最も関心を寄せている項目は、1番が資金調達の方法、2番がマーケットの情報だ。3番目に販売チャネルの情報で、4番目がセールスパートナーの情報だという。アジアの市場に戦いを挑むにあたって、情報がいかに大切かを物語っている。わたしは年間で100社ぐらいの中小企業から、中国進出についての相談を受けているが、とにかく情報をとることを心がけるようにと言っている。
【杉本 尚大】
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