<至らぬ論評は止せ!!>
ソフトバンクオーナー・孫様(孫さんとは呼べない)の「100億円義援金の拠出」という報道を耳にして腰を抜かした。「痛快」とか「天晴れ!!」という表現の域を超えている。数字のケタを理解できる人であれば「ビックリ仰天」するのは当然の成り行きだ。さらに加えること、約1億円の役員報酬も現役の間、カンパし続けることも約束している。こうなると、貧乏人の妬み根性の一点もつけ込ませない快挙だ。筆者の腰を抜かさせた孫様の今回の行為は、今後、孫ソフトバンクが何をしようとも「まー、孫さんがやることは認めよう、仕方がないな」と、他の批判を封殺するマグニチュード10に値する影響力を残すだろう。
某週刊紙(どことは言わない)が、大震災へのオーナー経営者たちの支援活動の有様を論評していた。ちょうど楽天の三木谷氏が10億円の義援金を納めることを発表していた時だ。「オーナー経営者の中で一番の働きをしたのが、楽天・三木谷氏であり、次に続くのがユニクロの柳井氏、ソフトバンクの孫氏は出遅れた」という馬鹿な記事が載っていた。この記事を目の当たりにして「阿保な記者だな。孫様は必ず我々を圧倒させるアクションを起こすはずだ」と直感した。これが20億円程度の拠出金であれば「後だしジャンケン」と批判されるが、100億円ともなれば、誰もが「凄いな」とただ感服するしかない。
<10人居ればまだ日本は救えたのに>
震災に「100億円」単位のお金を出せるというのは、アメリカの大富豪クラスである。ソフトバンク孫様がアメリカ大富豪の仲間入りをした証明だ。また、1980年に会社を興して以降の、日本における新時代の経営者として「孫様に追随できる者はいない」ことを自ら立証したといえる。「ソフトバンクよりもケタが違う強豪NTTグループは一体、どうしているのか。100億円程度の義援金はワケもないはずなのに。ケチな会社だ」という世論を喚起させるかのような巧妙な、かつ強(したた)かな戦略でもある。営業面でも携帯電話の契約台数でもトップを走るのではないか!!
ただ残念なのは、ソフトバンク孫様に続くニュービック経営者たちを潰したのは日本社会そのものであるということだ。政治であり、マスコミであり、国民の妬みであった。日本には「出る杭は打たれる」という悪しき嫉妬構造がある。ホリエモンが順調に経営者として育っていたのであれば、彼もポーンと100億円投げ出してくれていただろう。ホリエモンが潰され、村上氏が犯罪者に転落し、全国の若手経営者がすべて萎縮してしまった。このマイナスの後遺症はまだ日本経済の足を引っ張っている。
日本の既成支配者が若手の育成・台頭を大らかな気持ちを持って後押ししていたならば、今ごろ事態は大きく変わっていたであろう。強力な企業が輩出されていたはずだ。そうなれば「尊敬する孫様が100億円出すならば我々も続け」と10人の若手オーナー経営者たちが出現していたであろう。1,000億円の災害復興資金はすぐに集まっていた。アメリカみたいに成りあがっていく若者を温かい目で見守る風土を、日本の社会に定着させる必要がある。
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