8日、中小企業庁は、中小企業倒産防止共済法施行規則の一部改正について発表した。今回の東北地方太平洋沖大地震発生における法改定である。
同庁によると、現行の中小企業倒産防止共済制度においては、取引先が(1)法的整理手続(破産法、民事再生法等)の申立て、(2)手形取引停止処分、(3)私的整理(弁護士等が介在するものに限る)の3つの共済事由のいずれかに該当する場合に共済金の貸付請求ができる。しかし、今回のような甚大な災害が発生した場合、手形交換所では、手形支払いにおいて災害による不渡りとなった手形・小切手等については「災害による不渡り」として取扱い、手形・小切手等について不渡り処分(不渡り報告への掲載・取引停止処分)が猶予される措置が実施されていることから、共済契約者は売掛金債権等を回収できず、共済金の貸付請求もできない状況が生じていたという背景がある。要するに、「被災した企業は倒産ではない」という概念であった。
「災害による不渡り」を本共済制度上の共済事由として新たに追加規定(省令改正)することにより、「災害による不渡り」となった手形・小切手等を所持する共済契約者等が共済金を貸付請求できることなった。これによって、売掛金債権等の回収ができない共済契約者の資金繰りを支援するものである。被災して資金や施設など何もかも失った企業が、一番苦境にさらされていることは確かである。一方、取引関係にあった企業も見込んでいた商用が失われるという事態に陥っている。改めて、広範囲に渡る今回の災害によるダメージの甚大さが浮き彫りになってきている。
【河原 清明】
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