中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
中国では、4月5日は清明節という日本のお彼岸のように先祖の墓参りをする日である。その墓参りを前にして、日本の固定資産税に相当する「物業税」という新しい不動産税の徴収が2012年から墓地も該当することとなり、大騒ぎになっているという。
この「物業税」、2012年に上海などの大都市を中心に不動産バブルの抑制、不動産税の平準化を目的として新設された税制だ。この税制の新設により大都市の不動産高騰は沈静化していったが、インフラの整備とともに地方都市では未だ不動産バブルは続いているようだ。そこで中国政府は「物業税」を地方都市にも適用し、マンションや住宅のみならず墓地にまで課税しようということらしい。もちろん納税義務者は墓のなかの死人ではなく墓地の管理者であるから、墓地の永代使用料に上乗せされることになるようだ。
日本では、墓地には固定資産税も都市計画税も課税されない。また、墓石代は消費税の対象となるが、永代使用料は土地の使用料であるので消費税も課税されない。中国においては、土地は国家のものだから不動産の使用料に課税することは国庫を潤すこととなる。
地方都市の周辺ではまだまだ分譲マンションや住宅が多数建設中であるし、最近では利殖を目的とした分譲ホテルも出現している。90年代の日本では、不動産の総量規制により簡単に不動産バブルははじけたが、中国の場合は土地の使用権という形のないバブルのようなものだからはじけようがないのであろう。中国の国家財政収支も赤字に転じたとはいえ、日本に比べれば僅かなものである。
【杉本 尚大】
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