3月29日、日本弁護士連合会(日弁連)会長名で、会員あてに「国選弁護報酬の請求について(お願い)」のタイトルのついた文書がFAXで送達された。内容は、日本司法支援センターによる「国選弁護報酬の過大請求に関する調査結果」が公表され、そのなかで、225件(153名)の過大請求があったことが判明したこと、今回の調査結果が国選弁護制度に対する国民の信頼を揺るがすものであり、このことの信頼回復へ会員一人ひとりが注意することなどが述べられているようだ。
国選弁護報酬は、弁護士自身の報告に基く接見回数、公判回数などが基になっている。国選弁護報酬過大請求の手口は、この回数を過大に申告して請求していることによる。していない仕事を行なったようにして報酬の請求を行なっており、故意であれば罪に該当する。
福岡市に本社を置くA社において、出来高払いの報酬請求社員が、出来高を過大申告して、過大に報酬を受け取っていたことが判明し、会社から詐欺罪で刑事告訴され、懲役罰(執行猶予付きながら)を受けている、国選弁護報酬の過大請求をした153名の弁護士も、故意であれば同様の罪であろう。そして、日弁連会長声明も厳正対処を表明しているが、弁護士を先生として尊敬、正義の味方として信頼している国民に対して氏名を公表すべきと思う。
日本司法支援センターによる「国選弁護報酬の請求に関する調査結果について」 (以下、同センタープレスリリースの全文)
当センターが国選弁護人契約弁護士に対して支払う国選弁護報酬の請求に関する調査を行なった結果、国選弁護人から提出された活動報告書に事実と異なる記載がなされ、153名の弁護士から計225件に及ぶ過大な報酬請求がなされたことが判明しました。
国選弁護制度に対する国民の信頼は、一つひとつの事件に真摯に取り組む弁護士の高い職業倫理と誠実な行動の上に築かれてきました。この度、このような国民の信頼を損なう事態が生じたことは、誠に遺憾であります。
今後、これらの契約弁護士については、過払額の返還を求めるとともに、事案の内容を踏まえ、適切に契約解除などの措置をとることなどを検討することになります。
当センターは、同様の過大請求を根絶するため、平成21年8月から、被疑者国選弁護人が活動報告書を提出する際には、接見の事実について、裏付けとなる疎明資料の提出を義務づける制度を導入しました。活動報告書の記載にあたっては、より一層正確を期するように契約弁護士に対して周知徹底を図っていますので、今後、再発がないものと確信しています。
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