中国人留学生レポート(1)
知人の中国人女性から聞いた話。彼女は青島市出身で、現在、九州大学の博士課程に在籍している留学生だ。その彼女が最近、2年ぶりに里帰りしたときの話である。
青島市内のファッション・モールを一周すると、ファストファッションの店が並んでいる。そのなかのひとつ、「H&M」に入ったとき、商品のほとんどが「メイド・イン・カンボジア」だったことに驚いたという。最近、現地の新聞では、「中国は『世界の工場』としての魅力が薄れつつある」と表現されている。
洋服のようなファッション生産と言えば、これまでの独壇場は中国だった。欧米や日本・韓国に輸出される品々はほとんどが「メイド・イン・チャイナ」だった。たとえば、「ユニクロ」のTシャツなどは青島市の「即墨髪製品集団」で作られている。青島市の洋服はほとんど「ユニクロ」に供給しているといっても過言ではない。そんな青島市の「H&M」でさえも「メイド・イン・カンボジア」なのだ。これからの中国は世界の工場でなくなることが推測できる。
彼女は、中国が世界の工場であることに、ユニクロブランドが自国で生産されていることに、少なからず誇りを持っていたという。だが、世界の工場が、ほかのアジアの国々に移り変わってきている現実を知った。彼女は、少しばかり寂しくもあると同時に、生産国から脱却しつつある中国の将来に期待も持ったという。
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