<再生計画案の作成>
再生計画案の作成は、まさに、今後のDKホールディングスの残務処理の工程表づくりでもあった。基本的なスケジュールとして、6月10日に再生計画案を裁判所に提出、9月に債権者集会、その後11月に残余財産を含めた弁済を実行......というスケジュールである。このため、資産の処分もすべて11月に向けて行ない、12月以降は必要あれば岩倉社長ひとりが残り、他は退任するか非常勤となることも決められた。処理が長期化すると、その分配当原資が運転資金に食われてしまうし、残務処理に当たる役員のためにも、ダラダラと長引くことは避けるべきと思われた。
再生計画案の作成に当たっては、売掛金や未収入金の回収可能性についても個別に精査した。ここで判明したのは、民事再生が当社の不動産管理事業に残した爪あとの大きさであった。申立後3カ月は入居者に対する家賃の督促さえ行なわれておらず、毎月500万円ずつ入居者の家賃未収金が増加してきていた。これらについては、1月の実績を締めたところで経理課長より報告があり様子を注視していたが、2月末時点でさらに拡大したため危惧を抱き、牧田取締役と打ち合わせを持った。「管理本部の社員も応援するので必ず督促を行なうように」と指示した。これはその後の現場の努力で改善したが、家賃未収金についてはきちんと債権の把握が出来ているとは言えない状況だった。物件の管理を解約したオーナーとの精算も、管理を継続する方の対応のほうが優先度が高い、ということもあって多数放置されていた。再生計画案の作成に当たって残余財産を精査したところ、このような実態があったため、家賃未収金・精算金未収金についてはその内容が相当に劣化していることがわかった。そこで、これらの資産については回収率を低めに見積もらざるを得なかった。
ともあれ、このようにして、当社の清算までの計画が、Excelのシート2~3枚にまとまるところまで来た。
<少額債券の優先弁済>
当社は、先述のとおり少額債券者への優先弁済を実施することにより債権者数を大幅に減らし、爾後の民事再生手続の作業を軽量化することを意図していた。そのため5月中旬に裁判所の許可を得て、全債権者に対して「5万円以下の債権者に対しては、満額弁済。「5万円超の債務者に対しては、「5万円超の部分を放棄したら「5万円を弁済」という主旨の少額債券優先弁済を実行した。再生計画案に基づく配当率4%からして、債権額125万円以下の人は優先弁済を活用すると考えられた。
5月1日を持ってほとんどの物件がセントラルレジデンスに継承されたことに伴い入居者債権者が激減したことに加え、今回少額債券者への弁済を行なったことにより、議決権を有する債権者の数は90名を切るところまで減少した。入居者の退去時敷金精算に予想以上の時間がかかったため若干の入居者債権者が残ってしまったものの、まずまずの上首尾であった。
〔登場者名はすべて仮称〕
(つづく)
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