博多港開発(株) 取締役社長 中島 紹男 氏
博多湾の一角に悠然と浮かぶアイランドシティ(以下、IC)。このICの開発をめぐっては、これまでさまざまな議論があった。ICの開発に深く関わり、その発展に尽力する博多港開発㈱取締役社長の中島紹男氏に、ICそして博多港のこれからのあり方について話を聞いた。
<物流拠点として>
―ICは港湾物流施設として、非常に活躍していると聞きます。
中島 「みなとづくりエリア」に、コンテナターミナルを中心とした物流施設があります。博多港は世界的な貨物のコンテナ化に対応し、取扱量もずいぶん伸びてきたと思います。リーマン・ショックの影響で09年は減少しましたが、10年の速報値では約75万TEUと、08年のピーク時に匹敵するような数値に戻ってきています。将来的には100万TEUが目標です。これまでも順調に伸びていますし、これからアジアとの交易がますます盛んになることを考えれば、まだまだ伸びていくでしょう。
ICと香椎パークポートは、一体となって国際的な物流拠点を形成しており、成長著しいアジアとくに中国との物流で大いに貢献しています。新青果市場についても、アジアとの取引を前提にしているでしょうし、センター地区にアジアと取引するような企業がくれば、よりまちも活性化すると思います。
―IC充実化のための企業進出の話などこれまであったと思いますが、どのような状況になっているのですか。
中島 とくにセンター地区は、企業誘致を含めて複合的な機能を兼ね備えた場所にすることを目指していますが、当該地区に興味を示している企業の話は聞きます。しかし皆さん、この土地にポテンシャルを感じていただき関心は高いのですが、いかんせん現在の経済状況や不動産市況を反映して様子見の企業もたくさんいらっしゃいます。引き続き、誘致活動は続けていきたいと思います。
―土地の価格がネックになっているのではないかという話もあります。
中島 それに関しては、不動産鑑定のなかで総合的に決まるのでしょうが、「もう少し土地が安ければ」と思われている企業さんもいらっしゃるでしょう。
―たとえば外資系企業の進出の話はないのですか。
中島 ICには、「みなとづくりエリア」と「まちづくりエリア」がお互いに目の前にあります。物流面ではアジアとの接点がありますから、そういう意味では物流と商流の接点になるような企業さんに進出していただければ幸いです。もちろん、外資系企業にも現地を見に来ていただいたことが何度もありますし、もっと理解を深めていただけるよう誘致活動を行なっていきたいと思います。
<プロフィール>
中島 紹男(なかしま・つぎお)
1949年生まれ。73年中央大学卒業後、福岡市に入庁。92年(財)アジア太平洋センター事務局長、99年総務企画局人事部長、05年港湾局長、09年㈶福岡コンベンションセンター理事長を経て、10年6月博多港開発(株)取締役社長に就任。
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