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片道980円!? スカイマーク驚きの新戦略
特別取材
2011年4月27日 10:02

 格安航空会社のスカイマークは4月12日、今年10月30日以降、成田と福岡、那覇、札幌(新千歳)、旭川の4つの路線を順次開設すると発表した。新東京国際空港(成田)に離発着する国際線への乗り継ぎ便で、名づけて「成田シャトル」。驚くべきことに、キャンペーン価格はたったの「片道980円」だ。

スカイマーク スカイマークは格安旅行会社のエイチ・アイ・エスを創業した澤田秀雄氏が「日本版LCC」をめざして設立したが、先行するJALとANAが対抗上、運賃を引き下げたことなどで経営が悪化。澤田氏は2003年、ナスダック・ジャパン上場のIT企業ゼロを経営していた西久保慎一氏に白羽の矢を立て、オーナーの地位を譲った。西久保氏は段階的にスカイマークの増資を引き受け、いまや52%を保有する筆頭株主である。

 格安航空会社というねらいは悪くなく、注目もされたが、経営は火の車だった。2010年3月期までの10期のうち5回も赤字に陥っている。共産党系の労働組合に支援を受けた従業員の労務問題が起きたり、運航トラブルの続出によって国土交通省から改善命令を下されたりと、ネガティブな話題にも事欠かなかった。それが10年3月期で安定的な黒字を計上し、さらに11年3月期は――JAL倒産が追い風になって――約100億円の経常黒字をたたき出しそうで、いまや完全に航空界のダークホースになっている。

 そのスカイマークがねらっているのは国際線への参入だ。保有するボーイング737-800(177人乗り)を使って成田―グアムなどの近距離国際線の開設をまず検討している。さらに1,150億円をはたいて欧州のエアバス社の大型機A-380を6機も購入し、2014年度以降に欧米線に就航させる計画でいる。

 この大型のA-380ではスカイマークお得意の格安エコノミー戦略は取らないことにした。最大で853人も乗ることができるA-380をゆったりめのラグジュアリーなシートの内装にし、400席弱しかしつらえない。彼らが狙っているのはビジネス客や裕福な高齢者の旅行客なのだ。エコノミークラスは、世界中のLCCの「たたき合い」でほとんど儲けが出ないビジネスになっている。その半面、ファーストクラスやビジネスクラスはずっと高値が維持されてきたので、その割高な価格帯を「価格破壊」しようとA-380で殴りこみをかけることにした。欧州まで往復200万円のファーストクラス、同100万円超のビジネスクラスを30万~50万円で提供しようという戦略だ。

 こうした国際線攻勢の一環として、スカイマークはこのたび「成田シャトル」を開設する。発表によれば、10月30日から成田―旭川、11月20日に成田―札幌、12月1日に成田―那覇、来年2月1日に成田―福岡をそれぞれ1日2往復で開設する。成田―福岡の場合、大人普通運賃はJALやANAの半額以下の1万3,800円にすぎない。3日前までの前割3だと9,800円、同7日前の前割7だと7,800円と次第に下がっていき、10日前の前割10だと5,800円、同じく21日前の前割21だとたったの3,800円だ。これだけでもJALとANAに対して圧倒的な競争力を有するのに、スカイマークは「スカイバーゲン価格」という名称で新設する4路線に超格安の980円というキャンペーン価格を設定した。このキャンペーンで供されるのは2万8,800席になる予定だ。

 マレーシアを拠点とする世界最大のLCCのエアアジアXは昨年9月に日本で記者会見したときに、新たに開設する羽田―クアラルンプール線の認知度を高めようとキャンペーン価格として片道5,000円で利用者を集めるというすさまじい「価格破壊」を見せ付けた。スカイマークの西久保氏はこの戦術にあやかろうと、さらに安値をゆく1,000円未満の980円という驚異的な価格を提示したのである。

 国際線に参入するため、やがては自社の国際線との乗り継ぎが平易になるようにと考えたのが今回の成田シャトルである。JALが倒産し、病み上がりの経営再建途上にあるなか、新興勢力のスカイマークが着実に地歩を築いている。

(了)

【尾山 大将】

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