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再選を目指すオバマ大統領の最大の敵は共和党ではなく"経済"(1)~フェイスブック
特別取材
2011年4月25日 14:03
国際政治経済評論家 中田安彦(SNSI研究員)

 日本では3月11日の東北地方を中心に発生した巨大地震と原発事故の収拾をめぐって、その無能ぶりをさらけ出した菅直人首相とそれを批判する政治勢力の非難合戦が始まっているが、アメリカ国内では、来年2012年の大統領選挙に向けて現職のバラク・オバマ大統領がすでに活動を開始している。

フェイスブック本社を訪問したオバマ オバマ大統領は、今月20日にカリフォルニア州にある世界的に有名なソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である「フェイスブック」の本社で集会を開催した。そこには現在26歳にして同社のCEOを務めるマーク・ザッカーバーグの姿もあった。普段からカジュアルな格好をしている同CEOもこの日はジャケットを着用。「オバマ大統領は僕に正装をさせた初めての政治家だよ」と言わしめたという。また、オバマが財政赤字削減に向け富裕層への増税に理解を求めると、ザッカーバーグは「私は構わない」などと応じたという。

 再選を目指すオバマは去年まで大統領首席補佐官だったラウム・エマニュエルが現在は市長を務めているシカゴに自分の選挙運動の拠点を構えた。ハワイ、インドネシアで若い頃を過ごしたオバマにとってシカゴは第二のふるさとだ。

 今のところ分かっている範囲では、今回選挙運動を仕切るのは、08年の大統領選挙を中心になって動かしていた5人だ。オバマ政権で顧問だったデイヴィッド・アクセルロッド(政治コンサルタント)とデイヴィッド・プローフ(同)、それから、民主党議員の選挙に参加してきて08年の選挙では主要な選挙参謀を務めた、ジム・メッシナら。さらに、オバマの母親がわりの相談役といわれるシカゴ財界人のマダム、ヴァレリー・ジャーレット
ロバート・ギブズ前ホワイトハウス主席報道官 そして、コミュニケーション・ディレクターとして、オバマ政権におけるホワイトハウスの報道官だったロバート・ギブズの名前をワシントン・ポストは伝えている。重要なのはこのギブズ前報道官が再就職したのが、ザッカーバーグCEOの率いる「フェイスブック」であるということだ。


 オバマが、なぜフェイスブックを重視するのかといえば、インターネットを使った「クチコミ選挙」が、一介の上院議員に過ぎなかったオバマを一躍大統領の座に押し上げたからである。ネットを使うのは若い世代だ。そのような世代をうまくネットワークでつなぎあげて、イラク戦争やアフガニスタン戦争などの結果、ブッシュ政権に対して溜まっていた不満をうまくオバマに象徴させたのである。
 最近もこの手法はエジプトやチュニジアの専制主義者を倒す際に使われた。ところが、オバマは私が『アメリカを支配するパワーエリート解体新書』(PHP研究所)で明らかにしたとおり、アメリカのエリート層の願望が創り上げた大統領だったのだが、ともかくもシンボルとしては調度良かったのだ。

 無論、テクノロジーが大統領を誕生させるといえば語弊がある。その背景には、「フェイスブック」というネットコミュニティを創りだしたザッカーバーグを陰ながら支援したハーヴァード大学に代表されるアメリカの東部エスタブリッシュメントの支配層やそれと拮抗する勢力である米西海岸・シリコンバレーのIT企業経営者たちが政治的な影響力を得てきたということが背景にある。このへんの経緯は少し前に日本でも話題になった「ソーシャル・ネットワーク」という映画に描かれているので興味のある人はDVDがリリースされたら見てみるといい。

(つづく)

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<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

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