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東日本大震災

Win-Winの復興支援、廃校になった農業高校を被災した農家へ
東日本大震災
2011年4月 1日 07:00

 福岡県朝倉市で、廃校になった県立朝倉農業高校を被災者の受け入れに活用してはどうかというアイディアが生まれている。それは「被災者を"新しい仲間"として受け入れる」という考え方に基づくもので、新しい復興支援のモデルケースになるのではないかと思い、現地を取材した。

<手つかずのままの農業高校>
 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震は、東北地方の大勢の人々に多大な被害を与えた。警察庁によると、3月30日午後9時現在で、死者1万1,362人、行方不明者1万6,290人。建物被害では全壊1万6,825戸、半壊8,287戸、道路の損壊は2,126箇所と、早期復興が困難を極めることを数字上で見てとれるほどである。

 自治体だけでなく企業や個人からも、義援金や物資という支援の手が差し伸べられているが、その一方で、避難してきた被災者を受け入れる動きも目立ってきた。
 そのようななか、朝倉市で社会貢献事業を熱心に取り組んでいる建設会社の社長は、「朝倉農業高校は、校舎だけでなく実習で使われていた施設などがそのまま残っている。また、朝倉市には後継者不足による休耕地もたくさんある。被災した農家の方々に来ていただいて、この地で再興していただくのはどうでしょうか」と提案する。さらに朝倉市は、災害が少なく、温泉もあり、震災による精神的ストレスをいやすには最適だということも付け加えた。

朝倉農業高校高校の敷地内にあるビニールハウス

 実際に同校の敷地を訪れたところ、校舎および施設は手つかずのままで、たしかに再利用は可能なようであった(画像参照)。廃校になってから約1年が経つが、校舎、体育館、グラウンドだけでなく、実習で使われていたという茶園、畜舎、ビニールハウスは現在も形を残していた。総面積は5万8,820.16m2。一時的な受け入れ施設としては申し分なく、実習施設を利用することで再出発の起点にすることもできるだろう。

<農業を通じて互いに再興する>
 朝倉農業高校については、2011年2月15日、福岡県から朝倉市へ管理委託がなされた。ただし、この契約は、朝倉市へ同校を払い下げることを前提としたもの。朝倉市が買い取る際の費用は約2億円、取り壊しには約6億円かかるといわれている。

 この買い取りについて疑問の声があがった。市議会で反対している柴山恭子朝倉市議によると、同校の施設、あるいは施設を取り壊した場合の土地の用途について、プランが決められていないという。
 また、この管理委託について市側が市議会へ要望書を提出したのは2月14日。つまり、その翌日に契約が結ばれたことになる。柴山市議は「最初から決まっていたことは明白で、議会軽視そのもの。このままでは税金のムダ使いになる」と、指摘する。

空き家の募集活動 その柴山市議は、市民グループとともに、被災者の受け入れが可能な空き家・空き室の情報を募集する活動を行なっている。この動きに朝倉農業高校の再利用が加われば、より大きな被災者支援になるだろう。後付けだが、同校の買い取りにも大義名分が立つ。
 同市内には閉店した商業施設が珍しくはなく、今年2月には原鶴温泉で老舗の温泉宿であった泉屋旅館がのれんを降ろした。そのような厳しい経済状況で、主要産業の農業でまちおこしをしようという声は多い。被災地から農家の人々を迎え入れれば、異なる農法を融合させるなどして新たな可能性を生み出すことにもつながるという。つまり、このアイディアは「Win-Winの復興支援」と言えるのではないだろうか。

【山下 康太】

■空き家・空き室情報募集
<お問い合せ>
甘木アーケード商店街 もやい広場
TEL:0946-24-3979
Mail:pbbtm522@yahoo.co.jp


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