博多港開発(株) 取締役社長 中島 紹男 氏
博多湾の一角に悠然と浮かぶアイランドシティ(以下、IC)。このICの開発をめぐっては、これまでさまざまな議論があった。ICの開発に深く関わり、その発展に尽力する博多港開発㈱取締役社長の中島紹男氏に、ICそして博多港のこれからのあり方について話を聞いた。
<具体像描けるまで>
―将来的に、アイランドシティはどのくらいの規模の人口を目指していますか。
中島 計画では、居住人口について1万8,000人、就業人口について1万8,000人を最終的な目標値としています。今年から市工区が本格的なまちづくりに入っていきますが、「CO2ゼロ街区」、言葉を変えれば「低炭素型のモデル都市」を先導してやろうというユニークな取り組みを始める予定です。
―私の印象では、アイランドシティは福岡のなかに点として存在しているという印象です。今後、博多や天神との連携をどのように図っていこうとお考えですか。物流面、観光面でお聞かせください。
中島 センター地区の開発による"にぎわいの創出"が最優先です。ただ、埋立地の開発というのはかなり時間を要します。たとえば、「シーサイドももち」をご覧いただければわかるかと思いますが、埋立地を竣工した89年にアジア太平洋博覧会(よかトピア)を開催しましたが、それからまちが最終的なかたちに近づくまでにおよそ20年かかっています。ICにおいても、シーサイドももちと同様に、最終的なかたちになるまでに長い年月が想定されます。
ICを魅力あるまちにするためには、将来的にCO2ゼロ街区・低炭素型都市の確立と魅力的な施設の誘致が必要です。博多駅周辺や天神、百道などには、すでに魅力ある文化・商業施設があります。その意味でICにも人を惹きつけるものが必要でしょうし、魅力あるまちにしていかなければなりません。そのためには、できるだけ早くセンター地区を発展させて人が集まるようにしていく必要があります。
「まちづくりエリア」には、すでにアイランドシティ中央公園がありますが、そこを縦断するかたちでグリーンベルトをつくる計画があります。また、野鳥公園の整備やアイランドシティ周辺の海や海岸を含むエリアをエコパークゾーンとして、そこを中心とした水と緑の拠点づくりも計画されています。これらがすべて完成すれば、環境と調和のとれたまちができるだろうと思います。
たしかに、今はまだ整備の途中ですから、皆さんがおっしゃるようにいろいろな施設が点在しているように見えます。机上の図面でいくら見せても、まちの全体の姿はわかりません。しかし施設ができてくれば、具体的に想像できるようになるでしょう。
またICでは現在、海上遊歩道を建設中です。完成すれば、御島水域を1周3㎞でまわることのできる、ジョギング、ウォーキング、自然観察などに最適な親水空間となります。やはり水辺・緑地というのは潤いを感じますし、人々を癒してくれる空間になると思います。
<プロフィール>
中島 紹男(なかしま・つぎお)
1949年生まれ。73年中央大学卒業後、福岡市に入庁。92年(財)アジア太平洋センター事務局長、99年総務企画局人事部長、05年港湾局長、09年㈶福岡コンベンションセンター理事長を経て、10年6月博多港開発(株)取締役社長に就任。
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