<有明海の再生とインフラ整備を>
椛島 この地域も以前は農業も漁業も豊かでした。とくに「宝の海」有明海は、ここ数十年の間に漁獲高が激減しています。最盛期の十分の一ぐらいでしょう。海苔は養殖技術の発達で水揚げはあがっていますが、海苔養殖以外の漁業者は困難を極めている状態です。それぐらい有明海は大変なことになっています。
有明海の再生させていくこと、そして県南のインフラ整備が遅れていますので、その格差是正を県知事にしっかりと訴えていきたいと思っています。海はおおらかで汚れを浄化する壮大な仕事をしています。ところが今の有明海は瀕死の重体です。有明海の再生をもう一度皆さん一人ひとりの心の問題から考え直さないと再生はできません。漁業者だけの問題ではなく、家庭排水から農業排水を含めて全体で見直さないと「宝の海」は死んでしまいます。福岡県政はこれまで有明海のことよりも福岡経済界のことが最重要でした。有明海のことは二の次三の次のことでした。有明海の再生とインフラ整備はライフワークとして避けては通れないテーマです。中央政治の縛りのなかではやりたくないですね。
<市民党の立場で県政に臨む>
―会派はどうされますか。民主党はしきりに秋波を送っているようですが。
椛島 本当にいろいろ考え悩みましたが、「会派ありき」ということではなくて、当面「一人会派」でやっていきたいと思っています。今回の選挙では、江口さんは「自民対民主」という構図でこられ、「椛島は隠れ民主だ」などと言っていました。しかし私は、そういう中央の政党政治の枠組みにはめ込まれてしばられるようなことは嫌だったので、無所属・市民党ということで訴えてきました。そうしないと県政を身近なものにはできないと思います。福岡県として、この地域をどうとらえ、どうしていきたいのか全然伝わってきていません。私の地元は投票率が高かったですが、農業・漁業の町です。未だに自民党支持の根強い地域です。こうしたなかでは党派の枠組みを超えないと本当の対話ができないと思っています。
<風通しのあるまちづくりを>
―やりがいがある仕事ですね。柳川市民のために実績をつくってください。
椛島 投票前に東日本大震災が起きました。私たちは生かされていること、そして穏やかな生活ができることがいかにありがたいことなのか、本質はここにあると思います。柳川で生きていけるならば、少しずつでも有明海をどう再生していくのか、農業をいかに守っていくのか、そして心ゆたかな社会をつくっていくことが私の課題だと思っています。国難と言われる時期ですから、予算や経済も厳しくなるかもしれませんが、「均衡ある発展」をというならば、ここ柳川をそのための同じスタートラインにつけるようにしたいと思っています。
巡り巡ってこのような機会を得られたわけですので、お世話になった地域と人たちに恩返しをしたいと思います。有明海の再生、農業や柳川の活性化は大きな課題です。選挙戦で「心の通う政治、もっと県政を身近に」と訴えてきました。たとえば、明るく元気なまちづくりです。これにはカネはかかりません。川下りの観光客の方々に声をかけると喜んでいただける。そんなおもてなしの心を提供できる観光都市にしたいですね。そして、そうしたソフト面の充実やこぎれいなまちづくりをめざします。柳川市の行政や議会の皆さまのご指導と連携で、本当に風通しの良いまちにしたいと思います。
【文・構成 中村 豊】
≪ (中) |
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら