戦後最年少の福岡市長である高島宗一郎氏を支える副市長が、3人体制となって新年度のスタートともに一新された。NET-IBニュースでは今回、各副市長にインタビューを実施した。まず1人目は、元市財政局長で、京都市副市長、内閣府参事官などの経歴を持つ山崎一樹氏。行政マンとして輝かしい実績を持つ山崎氏に、リーダー・高島市長のもとで行なわれる新市政の方向性などについて話をうかがった。
―3月11日の東日本大震災以降、日本経済における福岡市の役割が大きくなってきたと思いますが、一方で福岡市自体の都市力が鈍くなってきたとも言われています。スローガンだけではなく、具体的にやっていかなければいけません。福岡市にかつての勢いを取り戻すためには、どうすべきだと思われますか。
山崎副市長(以下、山崎) 今回、地震が発生したのは三陸沖でしたが、以前から懸念されていたのは東南海・南海地震です。潜在的にプレート型の巨大地震が起こる可能性が高いと指摘され、政府も対策が必要であると言ってきました。私は、福岡市の副市長に就任する直前に、松本龍防災大臣のもとで防災対策の仕事をしていましたが、その不安が現実のものとなったのです。
3月11日に図らずも明らかになったのは、日本は巨大地震の可能性を抱えていることと、その震源地が基本的に太平洋側であるということです。そして、これまで戦後の復興を支えてきた大都市は、太平洋側の港湾を中心に発展してきたことは紛れもない事実です。
一方、日本の大都市で海に面していないところと言えば、京都だけです。私は、京都市で副市長を務めさせていただいた経験もありますが、その時に、太平洋側に都市が集中する日本全体から見た福岡のポジションを考えるようになりました。
福岡は、プレートによる巨大地震の可能性がほとんどありません。これは福岡の"宿命"だと思います。そのことをふまえて今後のあり方を考えるのが、福岡の置かれた状況であるという認識を持っています。
今回、副市長の役割分担を明確にするということで、渡辺副市長がハード面を担当し、私がソフト面を担当するようになっています。所管で言うと、市長室、総務企画局内の企画調整部および国際部と東京事務所、そして財政局、環境局、経済振興局および農林水産局です。いずれも、高島市長が掲げている広報戦略に関わる分野だと思います。
高島市長が力点を置く広報戦略を私なりに解釈したところですが、それは「ストーリー作り」だと思います。「なぜ、都市力が鈍ってきたのか」というお話がありましたが、それは福岡のまちづくりに「ストーリー作り」が欠けていたからです。
日本全体では、国も自治体も財政健全化をしていかなければならないという方向性がありますが、6年前、私も福岡市役所で取り組み、その道筋をつけたところまでできました。ただし、当時から言っていましたが、財政健全化は"手段"であり、"目的"ではありません。「財政を健全化して何をするのか」ということが重要なのです。
【文・構成:山下 康太】
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