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チャイナビジネス最前線

JETRO中国事業環境研究会 福岡報告会(中) ~九州アジアビジネス連携協議会・国吉澄夫事務局長
チャイナビジネス最前線
2011年5月18日 11:38

<中国は「世界の工場」から「世界の市場」へ>

 中国がWTOに正式加盟した2001年ごろを契機に、中国は「世界の工場」「世界の市場」と言われるほど、驚異的発展を遂げて、現在に至っている。WTO加盟時期の前後、中国では「投資ブーム」が起こり、世界中から製造投資が集中した。一方で、当時の小泉首相が靖国参拝したことが直接の引き金となり、日中の政治関係が冷え込み、いわゆる「政冷経熱」と言われる、企業にとってはつらい時期が訪れた。経済成長を遂げている時期に、政治的緊張によって、投資熱が冷めたことは否めない。ただ、日本の首相が交代し、安倍政権が「戦略的互恵関係」を謳うに至り、わずか数年で、日中関係は回復した。

JETRO中国事業環境研究会 福岡報告会 90年代から2000年代前半にかけて、中国では、国内のエレクトロニクス企業と日本の家電・電子メーカーとの協定が活発に結ばれた。その多くは、1社対1社ではなく、複数の企業が入り乱れた事業単位での提携で、事業拡大と生き残りを図る中国企業側がイニシアティブをとり、日本企業側に持ち掛けるケースがほとんどだった。2004年ごろには、トムソンとTCL、IBMとレノボといった欧米と中国の企業が連携する動きが見られた。その点においても、日本企業の「戦略提携」は欧米企業の後手に回った感が否めない。

 2006年3月、全人代(全国人民代表大会)で採択された第11次5ヵ年計画において、これまでの成長路線一辺倒から格差社会の解消、調和ある社会建設への転換がはじまった。これは中国で事業を展開する企業にとっても大きな転換点であり、企業行動のなかに、中国社会との共存、社会貢献、企業の社会的責任などが求められる時代に入ったと言える。第11次5カ年計画のなかで、「量から質」へと転換したことで、従来の外貨優遇税制も見直された。また、「新労働契約法」が施行されたことにより、「労働者保護」の傾向が強まったことで、投資環境も転換期を迎えることとなった。

 このように新しい事業環境となった中国では、進出する日本企業は「21世紀型」とも言うべき行動基準で、事業運営に臨むのはどうか。これまでの「20世紀型」は輸出加工型持ち帰り拠点として中国を見ていたが、「21世紀型」は現地完結型事業拠点としてとらえることが求められる。これまでは低コスト労働力として見ていた中国を、中国の優秀な人材を自社の経営に取り込む「人の現地化」も重要課題だ。刻々と変化する中国の法制や税制への対応力を高めることも必要だし、商品のPRやブランド力と並んで、社会貢献、CSRの行動理念も重要になってきているのだ。

(つづく)

【杉本 尚大】

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