福岡市議選でも一部の立候補者に選挙ポスター代の過大見積もり疑惑が浮上。NET-IBニュースでは、選挙ポスター代の適正な価格を問う記事を報じてきたところ。さらなる取材によって選挙ポスター代の上限額設定のしくみが明らかになってきた。
NET-IBニュースでは、福岡市議選終了後に立候補者が福岡市選管に提出した「選挙運動費用収支報告書」を入手した。これによると、選挙ポスター作成費は1枚あたりの価格に直した場合、370円から2,317円までとかなりの幅がある。しかし、貼られている現物を見ても、その違いは素人目にはわからない。
市選管によると、選挙ポスター作成単価の上限額は「福岡市議会議員及び福岡市長の選挙における選挙運動の公費負担に関する条例」に基づき定められているという。具体的には4月の市議選では、東区・1,347円、博多区・1,807円、中央区・2,091円、南区・1,552円、城南区・2,459円、早良区・1,545円、西区・1,552円となっている。
各区によって上限額が異なる理由は同条例にあった。
それによると、「ポスター1種あたりの作成単価」は(30万1,875円+510円48銭×ポスター掲示場数)÷ポスター掲示場数と定められている。市選管によると、ポスター掲示場数は4月の市議選では、東区・361、博多区・233、中央区191、南区290、城南区155、早良区292、西区290。この数字を上記数式に入力すると各区の選挙ポスター作成単価の上限額がでてくるというしくみだ。
数式にある30万1,875円という数字はデザイン料、写真撮影料なども含む企画費、510円48銭は印刷費とのことだが、この金額は適正なのだろうか。「デザイン、撮影にかかる費用は人によって異なるが、A3・4色C(選挙ポスターと同規格)なら、高くてもせいぜい15万円程度」(印刷業者)ということをふまえると、企画費が選挙ポスター代をはね上げていると言っていいだろう。条例に規定された上限額を見直す必要があるのではないだろうか。
【吉澤 英朗】
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