「福祉の充実」「強い経済」「議会改革」をスローガンに、福岡県古賀市から福岡県議選に立候補した民主党の田辺一城氏(31)。1議席を2人で争い、次点にわずか882票差の11,271票を獲得し初当選を果たした。接戦だった2010年11月の古賀市長選の影響が残ると言われた今回の選挙では、現市長を全面的に支えた自民党現職の前田宏三氏に、前市長が支援に回った民主党新人の田辺一城氏が挑むという構図になった。
民主党に逆風が吹き荒れた今回の地方選。若き立候補者にとって影響はなかったのか。田辺県議は「たしかに国政が影響した面はあるでしょう。しかし今回、支援者の皆さんの支えがあって、私は政党よりも『田辺一城』を市民の皆さんに知っていただく選挙活動を行なえました」と語る。そのために、市内の8小学校区・45行政区をくまなく回り、数人から数十人単位の市民との対話集会を開き続けたという。
田辺県議は、元毎日新聞社記者という経歴を持つ。とくに大阪本社社会部では、地域社会における障害者、お年寄り、子どもなど社会的に弱い立場にある人の問題などを取材してきた。また橋下徹大阪府知事の担当もし、政治の世界に触れるなかで「主役は地方だ」ということを強く認識した。
もともと古賀市で生まれ育った田辺氏は、故郷で自らの想いを実現する決意をした。古賀市長選をめぐる市民の二分による強い政治不信、議員の手による政策条例の成立が「ゼロ」といった諸問題に直面し、「県議会の意味・意義を問い直し、議会改革をしたい。また地方分権を推進したい。そして古賀市をよりよい街にしたい」(田辺県議)という想いを再確認した。
5月11日から13日にかけて東日本大震災の被災地を訪問した(詳細はこちら)。また17日には初の県議会(臨時会)を終えた。県議として学ぶことの多かったこの約1週間を「やはり『現場主義』に徹することが政治の原点。被災地で、現場で人の体験、思いに触れることの大切さを再認識した。初議会では、議長の選出過程が県民に分かりにくいなど、よりいっそう議会改革の必要性を感じた」と田辺県議は振り返る。
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