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チャイナビジネス最前線

JETRO中国事業環境研究会 福岡報告会~野村総合研究所 上席コンサルタント 緒方 卓氏(前)
チャイナビジネス最前線
2011年5月24日 14:39

野村総合研究所 上席コンサルタント 緒方 卓氏 日本の中小企業は、中国の安価な人件費、外資優遇措置などを活用して、うまく中国進出を果たしている一方で、法制度の変化やパートナーとなる企業、現地政府との関係の不安定化など、さまざまな課題を抱えている。中国での事業の環境変化に対応できるように、現地の情報、コンサルテーションサービスの提供、中小企業の現地人材育成支援など、公的な機関の役割がこれまでよりも求められている。野村総研の上席コンサルタントとして、緒方氏が、マーケティング分野から人材活用分野に至るまで、中国ビジネス環境変化への対応を考察する。

<事業タイプ別の課題を考える>

 中国へ事業進出した企業は、販売先によって、大きく4つのタイプに分類できる。その4つとは、「日本向け輸出型」「現地企業向け型」「現地日系企業向け型」「現地BtoC型」だ。ひとつ目の「日本向け輸出型」に分類される企業の特徴は、円高トレンドのときには、対日輸出の持続が拡大する傾向がある。日本人が嫌う、いわゆる「3K」という業種に対応していて、現地での生産活動を持続・拡大している企業が多い。こういった企業は、人件費高騰、元高による生産コストが上昇することによって、生産活動が縮小する傾向がある。また、労働争議などの多発により、働き手の安定確保が難しくなってきていることなどが挙げられる。

 ふたつ目の「現地企業向け型」については、現地企業とのトラブルが起こる可能性が高く、技術や人材の流出も考えられる。3つ目の「現地日系企業向け型」についても、労働争議の多発などで、人材確保が難しくなっていて、日系企業も「現地化」を進めているために、現地で苦戦を強いられることになる。

 4つ目の分類にあたる「現地BtoC型」の企業はまだ少ないのが今後有望視されている業態である。ここに分類される企業は、現地のニッチな市場を開拓して事業を拡大しているケースや、日本での取引関係を活用して、現地日系企業の製品の流通などのサービス分野に参入し、事業を拡大するケースがある。この類の企業は、市場の情報や取引先の情報不足が業績悪化につながるケースが多く、情報収集能力がカギになると思われる。

(つづく)

【杉本 尚丈】

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