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東日本大震災

特別寄稿・破壊と創造 東日本大震災に思う(前)~(株)オオモリ総建会長・大森 奨氏
東日本大震災
2011年5月24日 07:00

 未曾有の地震と津波の被害を蒙られた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 3月11日の東日本大震災より50日目、仙台空港が開通したと聞き、早速4月30日に1泊2日で現地を視察した。
 宿をインターネットや電話で探したが震災関係者で何処も満員であった。しかし、幸いにもビジネスホテルにシングル部屋を見つけ簡易ベッドを設えてもらい一の関市で二人が泊まる予約ができた。旅費は伊丹空港経由で往復9万3千円。

空港近くは被害にあった自動車とおびただしい瓦礫で... 福岡空港を朝7時5分に発し、伊丹経由で仙台空港へは10時40分に着いた。仙台空港は津波ですべて流され、トイレも工事現場にあるような仮設トイレ。その通路はベニヤ張りの通路だ。空港は海岸よりにあり、仙台市街までバスで1時間かかった。その間、空港近くは被害にあった自動車とおびただしい瓦礫で「こんな所まで」とビックリさせられた。大きな仙台平野のなかにある仙台市だけに川をさかのぼった津波は上流まで被害をおよぼしていたが市街までは来なかった。建築物には地震による大きな被害は見られなかった。

 塩竈港、松島、石巻港、南三陸志津川町、気仙沼港、陸前高田、とタクシーを1時間5,300円で13時間借り切って見て回ったがその惨状は、日々のテレビで見る通りで言葉ではひと口に言い表せない。
津波の巨大な力にはただただ驚嘆するばかり... しかし、テレビで見たような光景でも、自分の目で直接見る惨状には衝撃を受け、ただただ唖然として言葉を失ない、夜は眠られなかった。見上げるほど大きな遠洋航海のトロール船が岸壁の上に打ち上げられ、海に戻すのに3億円かかるという。無残な鉄骨だけになった3階建て、山のなかに流されてきた漁船、4階建ての屋上を越えて人や家屋を数分間で飲み込んだ津波、谷川沿いのJR線の土手が崩れた線路だけの上に残る2両の客車、ビルの上に載った漁船、津波の巨大な力にはただただ驚嘆するばかりである。

 日本三景のひとつ瑞巌寺がある松島港の遊覧船は、湾内に散在した瓦礫の撤去が終わり、ちょうど訪れた日に運行を開始した。湾内にある260個の大小の島々は防波堤の役目をしており、同地は海岸道路を越え床上に浸水し道路上に商品や陳列ケースが流れ出した程度。その前に見た被災地に比べれば、意外なほどに土産店や旅館そして瑞巌寺などには大きな被害はなかった。瑞巌寺は改修中だったが参道のなかほどしか水はきていない。

 夫々の港に入る山間の道には『津波浸水予想地点』という初めて目にする標識が各所にあり、「津波銀座」といわれた所だけに津波に対する関心の大きさを感じた。時々はサイレンを鳴らして津波襲来の訓練もなされていたそうだが、3万人も亡くなられたのはそれほど今度の津波が「想定外」だったということだろうか。
 漁港は、一瞬、戦後における長崎原爆の跡や東京の戦災跡や福岡の焼け跡を見たときを思い出させたが、鉄筋コンクリート造りの残骸が点々と残っているのは同じものの、一望の町のなかに家屋の残骸が一面に広がって焼けていない点が、まったく違うところだ。大小の漁船が山間に、谷川に、道路端にまた自動車がごろごろと転がっているのも、異様な光景であった。

 大型連休ではあったが、人影がなく自衛隊の車やマイカーが走っているものの、死の町となった今、渋滞はまったくない。
見上げるほど大きな遠洋航海のトロール船が...

(つづく)

【株式会社 オオモリ総建会長 大森 奨】


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