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東日本大震災後、中小企業に重くのしかかる「倒産」の悪夢
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2011年5月25日 07:00

 3月11日に発生した東日本大震災により、日本列島は「自粛」ムードにすっぽり覆われて、2カ月を経過したにも拘わらず景気回復の糸口がなかなか見出せない状況にある。
 東電の福島第一原発の放射能汚染が連日大きく報道されているが、その陰で大震災後の不況に喘ぐ中小企業の報道は少ない。
 金融庁は金融機関を通じて被災企業に対する支援策を打ち出している。以下、要約したものを抜粋する。

<金融庁・財務局の東日本大震災への対応>

 政府は、東日本大震災で、被災された中小企業などの皆様のため、金融機関に対し、以下の要請を行なっていますので、まずは、お取引金融機関にご相談下さい

○今回の災害の影響を直接、間接に受けている中小企業の借入金の返済猶予などやつなぎ資金などの借り入れ申し込みについて、出来る限り応じること。
 借入申込時の提出書類等も必要最小限のものとすること。

○災害のため支払いができない手形・小切手について、不渡りとしないこと。
 (注)手形には「災害による」旨の記載をした「不渡付箋」が貼られますが、手形交換所規則に基づく不渡処分(不渡報告への掲載および取引停止処分)は猶予されます。

預金の払戻しについて、通帳・カードを紛失した場合でも、弾力的かつ迅速な対応を行なうこと。

保険金の支払いについて、できる限り迅速に行なうこと(損害保険・生命保険)。

 1995年の阪神・淡路大震災後の倒産件数は、最も被害の大きかった兵庫県で、全国平均の3倍以上の倒産件数を記録している。当時は円高不況により全国平均の倒産件数は前年比8%増であったが、東日本震災前の最近2年間は返済猶予法や金融円滑化法の効果もあり前年比10%以上のマイナスが続いていた。

 しかし「災害による旨の記載をした不渡付箋」により、「手形交換所規則に基づく不渡処分を受けることはない」にもかかわらず、大震災後は事業継続が厳しいために倒産件数は前年比増加に転じており、今後大幅な倒産件数の増加が予想されている。
 震災の復旧・復興法の執行を急がなければ、自粛ムードや計画停電などのマイナス要因もあり、中小企業にとって「倒産」の悪夢を回避するため生き残りを賭けた1年になる。

【北山 譲】

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