昨年(2010年)12月の福津市議選で立候補した4名(当選3名・落選1名)が、公費負担の選挙ポスター代を市に水増し請求した問題で、27日に4名のうちのひとりである市議会議長が議員辞職した。
本件は、前回記事で筆者が指摘したとおり、即議員辞職すべき案件であり、今回、辞職した議長は、当初、議員辞職ではなく議長辞職願を提出。その後、水増し請求の関与を否定し議長辞職願を撤回しており、ようやく議員辞職するかたちとなった。残り2名の福津市議も、水増し請求が事実であれば即議員辞職すべきである。
今回、問題となった公費負担の選挙ポスター代水増し請求は、残念ながら福津市だけの問題ではないと考える。本年4月に行なわれた福岡市議選でも一部の立候補者に同様の過大見積もり疑惑が浮上している。ちなみに、福岡市議選立候補者が福岡市選挙管理委員会委員長あてに提出した「ポスター作成契約届出書」によると、選挙ポスター1枚あたりの価格に直した場合、370円から2,459円までとかなりの幅がある。
福津市や福岡市だけではなく、ほかの地方議会においても、ポスター代や選挙カー代、ガソリン代などの公費負担となる費用の実態を調査し、請求上の妥当性について検証する必要があるのではなかろうか。当然ながら、公費の不正請求を行なった議員は、福津市議に限らず即議員辞職すべきである。
ポスター代の水増し請求などは、昨今問題となっている政務調査費の不正・不適切使用と同根であり、議員としての資質の問題である。ポスター費用などの公費は上限一杯まで請求し、政務調査費は第二の報酬として受領する。このような問題のある議員がいる限り、地方議会の正常化や地方自治体の財政健全化の実現は望めない。
【松永 洋幸】
<プロフィール>
松永 洋幸 (まつなが ひろゆき)
1972年4月生まれ。九州大学法学部法律学科を卒業し95年、損害保険会社へ入社。2006年有限会社地域サービスを設立。07年、外資系保険関連コンサルティング会社へ転職。大学生時代は合気道部で心身を鍛え、社会人となってからは消防団活動、マンション管理組合の役員、防火管理者などのボランティア活動に取り組む。⇒『松永洋幸氏の公式HP』
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