大きな被害を出した東日本大震災から3カ月が経とうとしている。震災当初は、日本全体で被災地を支援しようと多くの義援金が集まっていたが、今ではその義援金の額も減少傾向。震災直後は多くの特別番組で被災地の特集をしていたテレビも、通常の番組構成に変わり、人々の話題からも震災の話題は徐々に消えつつある。私たちも「震災の被害は痛ましいし、支援はしないといけない。でも義援金も寄付もしたから、私たちにできることはこれくらいだな。後は現地の人の力で復興していくだろう」と考えてはいないだろうか。
最低でも復興に10年はかかる。
ここでひとつ伝えなければならないのは、被災地の復興はまだ始まったばかりということだ。今回の震災は、地震の被害だけでなく津波の被害があまりに大きかった。海岸部では、自衛隊による瓦礫の撤去が行なわれているが、まだ復興のメドは立っておらず、内陸部も広範囲で建物の床上まで浸水しており、自宅の床を壊して床下の泥出しを行なっている。実際に現地では、義援金が行き渡っておらず、県外からのボランティアを含めても人手が足りていない。被災者が、ボランティアセンターにボランティアの派遣を申請しても、申請件数があまりに多く、2週間以上経ってからでないと派遣されないような状況だ。ボランティアを依頼する住人の多くは高齢者で、ひとりでは床下の泥出しや瓦礫の撤去などの重労働を行なうのは難しい。そこでボランティアに頼らざるを得ないのだが、肝心のボランティアの派遣まで2週間以上かかるのでは、復興のスピードは早いとはいえない。被災地は、復興への第一歩は順調に踏み出せても、二歩目、三歩目がなかなか踏み出せずにいるのだ。
被災者は1日でも早いまちの復興を願っている。
被災者は口を揃え「早く元通りになった家に住みたい。1日も早く復興してほしい」と語る。とくに高齢者は、1階が浸水し、2階で生活をすることになっても馴染んだ土地から離れようとせず、身体も思うように動かないため「手伝ってもらって申し訳ない」と思いながらボランティアを待ち続けている。また、被災者に対して義援金が届いておらず、貯金を切り崩して生活しているために金銭的に厳しい生活を送っている住人も多い。
復興への長い道のりはまだ始まったばかりなのだ。これからは物資だけでなく被災者の心のケアも問題にあがるだろう。被災していないわれわれにできることは何だろうか。被災地へ人や物資、義援金を送るなどの支援を継続的に行ない、支援の輪をこれまで以上に広げていくことだ。1日でも早い復興へ向けて大きな力になるのではなかろうか。
【中山 俊輔】
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